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2021年2月23日 (火)

リリーフ投手を一週間に四試合以上投げさせてはいけない。

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敗戦処理。が知らなかっただけかもしれないが、リリーフ投手を酷使させず、特定の投手に負荷を集中させないための方策としてマリーンズでは同一投手を一週間に四試合投げさせない、つまり三試合までしか起用しないという。敗戦処理。の認識では連投を二日までとし、三日間以上の連投を原則としてさせないというのはあったが、一週間に四試合起用しないというのは知らなかった。


マリーンズの投手コーチは吉井理人。大リーグでプレーした経験もあり、投手に無理をさせない起用法はさすがというしかないが、マリーンズに限らず各球団の昨年の投手起用事情を振り返ってみる。

 

 

 



投手の負荷軽減は球界全体のテーマと言える。先発投手の登板間隔は中六日空け、なおかつ一試合での投球数を100球前後に抑える。リリーフ投手に関しても基本的にイニングまたぎを避けると共に連投を二日までとし、三日以上の連投をしない。ここでいう“連投”とは“○試合連続登板”ではない。“○日間連続登板”を指す。これに加え、マリーンズでは一週間に四試合以上登板させないという制約を加えていたという。
例えば、昨年のように一週間に六連戦が組まれる週が続く場合に、チームの勝率を良くしようとしたら四勝二敗以上の週を増やし、悪くても三勝三敗に持ち込むのが良いと思われる。週に四勝するといっても接戦ばかりだったらいわゆる“勝利の方程式”に組み込まれているリリーフ陣が週に四回登板しても不思議ではない。三連投を避けるというなら、例えば火、水、金、日の四回の登板を見込める。しかし四回投げさせてはけないというのだ。


リリーフ投手も“勝利の方程式”と言われる、リードした状況で投げる投手をリードされた状況では投げさせないことで負荷を避ける。つまりリードした状況で投入するリリーフ要員とリードされている状況で投入するリリーフ要員、両方をベンチ入りさせなければならない。今季はこのエントリーを書いている時点では例年通りの日程だが昨年の様に六連戦の週が続くとなると、多くのリリーフ要員をベンチ入りさせなければならない。


マリーンズでいえば、昨年最初の六連戦にあたる、623日から28日までのバファローズとの六連戦に六連勝して話題になった。勝ちパターンのリリーフ投手がフル回転したかというと、三試合までの登板に収まっている。

日付、スコア、投手、イニング、[]内は投球数。
6/236-5B 二木52/3[78]、東條1/3[15]、Hハーマン1[10]、ジャクソン1[19]、○田中1[12]
6/246-4B ○小島5[81]、H小野1[8]、Hチェン・グ1[8]、Hハーマン1[9]、S益田1[19]
6
/255-0B ○岩下52/3[83]、東條1/3[6]、石崎1[21]、田中1[12]、中村稔1[15]
6/266-5B 石川6[100]、○小野2[29]、S益田1[22]
6/272-1B 種市7[105]、Hジャクソン1[12]、H益田1[16]、○ハーマン1[13]
6/286-5B 美馬7[105]、小野1/3[10]、○東條2/3[10]、Sジャクソン1[17]

六連勝の内訳で1点差試合が四試合あるなどシーソーゲームが多かった割りには東條大樹、フランク・ハーマン、ジェイ・ジャクソン、小野郁、益田直也と三試合に登板した投手は五人いるが四試合登板した投手はいなかった。三試合に投げた投手も小野に一度だけイニングまたぎがあるが三連投はしていない。吉井理人コーチの手腕がさえる。因みに六連敗を喫した対戦相手のバファローズではこの六連戦で比嘉幹貴26日から28日までの三連投を含め四試合に登板している。


『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)20201221,28日合併号から202128日号にかけて連載された“12球団2020年シーズン回顧”というコーナーで各球団の試合ごとの投手起用が記載されているのでそれを元に数えたのがこちら。なお一週間を火曜日から翌週の月曜日までとした。

(4回以上登板した投手)
ジャイアンツ 藤岡貴裕、鍵谷陽平、高梨雄平(2)、大江竜聖(4)、デラロサ、ビエイラ、田中豊樹、田口麗斗
タイガース 岩崎優、スアレス(2)、エドワーズ(2)、ガンケル
ドラゴンズ 祖父江大輔(5)、又吉克樹[5試合登板]、福敬登
ベイスターズ エスコバー(8)、国吉佑樹、パットン(2)、平田真吾、石田健大、砂田毅樹[5試合登板]
カープ ケムナ誠(3)、フランスア(2)、塹江敦哉、一岡竜司
スワローズ 中澤雅人、清水昇(3)、マクガフ、石山泰稚、近藤一樹、寺島成輝、星知弥
ホークス モイネロ(3)、嘉弥真新也(2)、高橋礼、森唯斗(2)、泉圭輔
マリーンズ 澤村拓一、益田直也
ライオンズ 小川龍也、平井克典(2)、佐野泰雄、平良海馬(4)、ギャレット、増田達至
ゴールデンイーグルス プセニッツ、牧田和久、酒居知史、宋家豪、J..シャギワ、池田駿
ファイターズ 堀瑞輝
バファローズ 比嘉幹貴、齋藤綱記、吉田凌(2)、ヒギンス(2)

(三日間以上連投した投手)
ジャイアンツ 大江竜聖(4)、高梨雄平、田口麗斗(4連投)
タイガース ガンケル、エドワーズ
ドラゴンズ 祖父江大輔(5)4連投1度]、橋本侑樹、又吉克樹
ベイスターズ エスコバー(3)、三嶋一輝、パットン(2)、砂田毅樹[5連投]
ープ 一岡竜司、フランスア
スワローズ 中澤雅人、星知弥、長谷川宙輝、マクガフ(2)
ホークス 森唯斗(3)
マリーンズ 澤村拓一、益田直也
ライオンズ 小川龍也、平良海馬(4)、ギャレット、増田達至(2)、[内4連投1度]、平井克典
ゴールデンイーグルス 宋家豪、J..シャギワ、池田駿
ファイターズ 宮西尚生、玉井大翔、堀瑞輝、金子弌大
バファローズ 比嘉幹貴(2)、ディクソン、齋藤綱記


一週間に四試合登板させた投手が少ない球団

1回 ファイターズ
2回 マリーンズ
6回 タイガース、ゴールデンイーグルス、バファローズ
7回 カープ
9回 スワローズ、ホークス
10回 ドラゴンズ、ライオンズ
12回 ジャイアンツ
14回 ベイスターズ

三日間以上連投させる回数が少ない球団
2回 タイガース、カープ、マリーンズ
3回 ホークス、ゴールデンイーグルス
4回 ファイターズ、バファローズ
5回 スワローズ
6回 ジャイアンツ
7回 ドラゴンズ、ベイスターズ
9回 ライオンズ

さすがマリーンズは週に四試合以上登板したのも、三日間以上の連投も澤村拓一益田直也に一度ずつあるだけだ。マリーンズに次ぐ少ない球団は吉井コーチが2008年~2012年と2016年~2018年に在籍したファイターズ。吉井イズムが退団後も浸透しているということか?そRともファイターズの方針を吉井コーチがマリーンズに持ち込んだのか?もっとも、リリーフ陣に週に四試合投げさせない、連投は二日間までと制約を加えながらもチームが2位になったマリーンズは吉井コーチの手腕が評価されて然るべきだと思われるが、5位に低迷したファイターズではそもそも勝ちパターンのリリーフ投手が酷使されるはずがない。評価は微妙なところだろう。


セ・リーグを制したジャイアンツでは一週間に四試合以上登板した投手ののべ回数がベイスターズに次いで多い。開幕から13連勝を記録した菅野智之でもリリーフ投手の力を借りて勝った試合が多く、リリーフ陣の負荷を減らす役割を担えなかったと思われる。リリーフ陣が昨年に続いて好成績を残せるか甚だ疑問である。桑田真澄投手チーフコーチ補佐が先発投手に135球での先発完投を求めているのもリリーフ陣に昨年の反動が来ることを想定しての危機感の表れなのではないか?


その菅野を差し置いて、先発投手最大の栄誉と言われる“沢村栄治賞”を獲得した大野雄大を擁するドラゴンズでは勝利の方程式の顔ぶれでは祖父江大輔にこそ酷使の傾向が出るものの福敬登は一週間に四試合起用されたのが一度あるだけでライデル・マルティネスの名前は出てこない。
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大野雄が20試合に先発して半分の10完投を記録してリリーフ陣の負荷を軽くさせたということだろう。昨年の大野雄には一部のブロガーなどから投げ過ぎ疑惑が囁かれたが、大野雄のお陰でリリーフ陣の負荷が軽減されたのは事実であろう。


パ・リーグを制したホークス。昨年まで四年連続日本一を続けているが、その一方で加治屋蓮、岩嵜翔、甲斐野央といった投手が活躍した翌年に故障に悩まされるなどで成績を大きく落としてきた。育成選手を含めた選手層の厚さで誰かが潰れても新しい人材が出てくるのはさすがだが、個人的には“代わりはいくらでもいる”的な発想を好きになれない。リバン・モイネロにしろ、森唯斗にしろ、今季も投げまくれるのだろうか?


一週間に四試合登板させない。三日間以上連投させない。投手に必要以上の負荷をかけない投手起用には理想と現実という壁が出てこよう。その制約を掲げながらチームを2位に導いた吉井投手コーチの手腕にはさすがの一言しかない。しかし他球団もマリーンズに続けとばかりに三日間以上の連投を避けることだけでなく、一週間に四試合以上投げさせない工夫をしてくるだろう。しかしそのためには投手の頭数を増やす必要があり、一定レベル以上の投手を増やさなければ出来ない。リードを許している場面で投入する投手にしても、失点を防いで味方の逆転を可能にする投球をするのが理想なのだ。容易なことではない。


投手の登録人数を増やせば、その分野手の登録人数が減る。相手先発投手が右投手か左投手かで打線を組み替えるということが出来なくなる他、代打攻勢、代走の起用や守備要員の人数が減る。相手投手が右投手でも左投手でも対処出来て、代走や守備固めの要らない野手でスターティングメンバーを固めなければならなくなる。1998年に横浜ベイスターズがリーグ優勝、日本一を果たした際には“中継ぎ投手のローテーション化”が取り沙汰されたが、それを可能にしたのはレベルの高いリリーバーを揃えられたことがその最たる要因だが、同時に野手を最小限に出来たことも要因と言える。スタメン野手8人のうち、7人までを固定でき、かつ代走や守備固めを必要としないメンバーを揃えた。それでいて“マシンガン打線”といわれる猛打爆発で相手投手を圧倒した。


権藤博監督が実践した野球をその後追随する監督が出なかったことは、これが有効な策とは限らないということではなく、容易に真似の出来ない策だったからだと敗戦処理。は推測する。2020年のマリーンズや、1998年のベイスターズを追随する球団は出てくるのだろうか?個人的に興味深い。

 

 

 

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