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2020年7月25日 (土)

GAORAの罪

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23日、マリーンズの荻野貴司が出場選手登録を抹消された。荻野は22日に行われた対ライオンズ戦で二盗を成功させた際に右足に違和感を覚え、守備から欠場していたが、右大腿二頭筋の筋損傷と診察された。


荻野は毎年の様に故障に泣かされる選手で、外野のポジションの一角を担うレギュラー選手であるが、十年目の昨年、ようやく初めて年間の規定打席に達した程だった。


もちろん、荻野もこの状況に手をこまねいている訳ではない。様々なトレーニングに挑んで体質改善を図っているのだが…。


(写真:ホームインする荻野貴司。プレーの随所に身体能力の高さをうかがわせる好選手なのだが…。 2018年4月)



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荻野貴司
がライオンズ戦で負傷する前の19日の対ファイターズ戦。試合開始前にベンチ前で身体をほぐす荻野独特のルーチン・ワークをファイターズのムードメーカー、杉谷拳士が真似をする仕草を見せ、荻野もそれに反応していた。試合を中継するCS放送のGAORAがこの模様を放送したこともあり、twitterでもファンが様々な反応を示していた。

試合前荻野さんと空手対決w

荻野は毎年の様に故障に泣かされる選手で、体質改善を図り試行錯誤していたが、辿り着いたのがこのトレーニング。その一環として、試合での故障を防ぐために試合前にこうしてルーチン・ワークとして体幹トレーニングをしているのである。杉谷は荻野と同じ先生に師事していることもあって、荻野をリスペクトしつつ、物真似をしていたのだろう。

【千葉ロッテ荻野&日本ハム杉谷】合同自主トレ公開

ところがこの模様を放送したGAORAの実況を担当した近藤祐司スポーツアンカーと解説者の稲田直人はそのような背景には一切言及せず、単に杉谷を煽ったり、格闘家の名前を出して荻野があたかもその選手の真似をしているかのように語ったり、要するに笑いのネタとしておふざけモードで喋っていた。


CS放送の本番でそんなことを喋れば、荻野の努力などの経緯を知らないファイターズファンは、杉谷のパフォーマンスの面白おかしい部分だけに注目して上述のツイートのような反応があっという間に広まるのは当然の流れであろう。


茶化して良いものと茶化すべく対象で無いものとの見極めも付かないファンが少なくないのも憂うべき傾向ではあるが、百歩譲ってそれは仕方ないとしても、それを煽った形になるGAORAの放送はスポーツを伝えるメディアとして如何なものかと思う。


CS放送による野球中継はこのGAORAに限らずホームチーム側のOBによる解説が多く、基本的にホームチーム側の情報が大半を占める、悪く言えば偏向放送になりがちだ。だがホームゲームとビジターのゲームは同数なのでファンにとってはお互い様ということでビジターの時には若干の苦々しさを味わいつつもCS放送を見るのだろう。近藤アンカーと稲田に限ったことではないのかもしれないが相手選手の情報が薄すぎると、荻野のルーチンをミスリードしてしまうことになるのだろう。


古い話になるが、1990年代初頭に、フジテレビが女性アナウンサーと女性ベンチリポーターによる、女性中心の野球中継をテストした。1990年6月24日、デーゲームのホエールズ対カープ戦を『プロ野球ニュース』の後の深夜の時間帯にダイジェスト放送し、自宅でその放送を見た解説者の谷沢健一に感想を聞くという企画だった。実況を担当したのは中井美穂アナウンサーで、他に松井みどりアナらが担当していたと記憶している。中井アナから感想を聞かれた谷沢は「中継の中で、ベンチの中で悩んでいる(広島の)高沢を茶化している感じだったけど、感心しないね。高沢はロッテから来て不振が続いているけど、何とかしたいと試行錯誤していてベンチでも独り言のようにぶつぶつ言っているのだろう。高沢にも家族がいる。選手の一生懸命な姿を茶化すのは感心しない」というようなコメントを返してバッサリと斬って捨てた。谷沢の言い分は、実況席が女性ばかりだからというのでなく、苦しんでいる一端を垣間見せる選手を茶化したことを否定している感じだった。夜中まで付き合っていた敗戦処理。も「谷沢、よく言った!」と思ったものだ。


プロ野球の中継が地上波からCS放送にシフトした様に、ファンの野球との接し方も様々になったことだろう。野球の試合の勝敗のアヤにこだわるばかりでなく、真剣勝負の中から漏れてくる面白おかしいシーンに迅速に反応し、SNSでそれらを楽しむファンも増えてきたと思われる。そのことは全く悪いことではないと思うし、そういう形で一人でも多く“野球ファン”を取り込もうという姿勢も必要であろう。だがひとつ間違えると、選手が藁にもすがる思いで辿り着いたルーチン・ワークをも笑いのネタの対象にしてしまうファンを大量発生させかねないのだ。


杉谷のパフォーマンスに対するtwitterでの反応の多さに嫌な予感がしていたが、全く偶然であろうがその三日後に荻野が今年も故障してしまった。だが24日の日刊スポーツによると井口資仁監督が「軽傷ではあるけれど、ここ数試合は無理して使う必要はない。再発させないためにしっかり治してから」と、最短の十日間での復帰が可能であることを示唆していた。


軽傷であって欲しいが、それとは別の次元でGAORAには考え直してもらいたい。ファンには様々な角度からプロ野球を楽しむ選択肢があるにしても、メディアが迎合して選手の努力する姿などを笑いの対象に貶めるのはつつしんでいただきたいものだ。上述の20年前のフジテレビの事例に例えれば、近藤アンカーが面白おかしく伝えようとしても解説者の稲田が荻野のルーチンワークの経緯などを説明するのが放送席のバランスというものだろう。


また、杉谷が面白おかしく真似していたポーズの由来を知った人はこれからの野球の見方の参考にしていただければ幸い、と思うがそんなことも考えずに楽しむ方が野球ファンの裾野を拡げることにつながるのが実態なのであろう。

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