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2019年1月20日 (日)

吉田輝星と権藤博さん、そして稀勢の里

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ファイターズのドラフト
1位ルーキー、吉田輝星の評判が上々なようだ。19日には日本ハム本社のイベントに出席し、そこで栗山英樹監督が“開幕投手もある”と持ち上げたこともあって今日20日には東京でもスポーツ報知とサンケイスポーツが1面で取り上げた。


栗山監督の発言はこの時期特有の“サービストーク”だとは思うが、吉田輝は約半年前、炎天下の甲子園大会で881球も投じて「投げさせ過ぎ」じゃないかと議論を巻き起こした存在だ。開幕投手云々以前に即戦力と期待して良いのかという疑問がある。



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日刊スポーツは
3面だった(1面は根尾昂)が、ほぼ一面をこの話題で占めた。昨夏の甲子園大会で“金足農業旋風”を起こした張本人だ。冒頭の写真は13日に行われた2019年新入団選手歓迎式典・交流会で撮影したものだが、この入場券約2000枚が先月ネットで発売したところ10分で完売したという。並々ならぬ注目を浴びているルーキーで、話題性だけでなく実力も兼ね備えているということなのだろう。


しかし、普通に考えてファイターズには昨年25試合に登板して116敗、防御率3.16上沢直之と、同じく25試合に登板して1011敗、防御率3.51ニック・マルティネスと好成績を挙げた二人がいて、少なくとも開幕投手の人選に困ってはいないだろう。昨年の開幕戦では本命視されていた有原航平の故障などがあってブライアン・ロドリゲスを先発させる邪道、もとい奇襲に走ったが今年に関しては今後アクシデントなどがない限り開幕投手をルーキーに頼らざるを得ない状態にはならないだろう。


個人的には吉田輝星に関しては開幕投手云々以前に、プロの投手としてしっかりと確立した投手になれるのか不安である。


その最大の理由は甲子園大会での投げ過ぎである。昨夏の甲子園大会で投じた881球というのは一大会での投球数としては2位だそうだ。

たかたか‏ @lasa__tento

〜甲子園球数ランキング〜
さいてょ 948

吉田輝星 881球←
NEW!
川口友哉 820

今井重太郎 814

島袋洋奨 783

大野倫 773

安楽智大 772

松坂大輔 767


プロで活躍したのは松坂だけであとは肘肩を故障して引退もしくは成績不良の模様

16:37 - 2018821


再試合込みの斎藤佑樹1位で吉田輝が2位。ツイート主の たかたか さんが呟いているように(現役選手もいるものの)大成したのは松坂大輔だけだろう。そういえば大野倫は先日深夜番組で見かけたが<>


加えて、残念ながらファイターズは高校から入ってくる投手の育成が今ひとつ得意とは思えないのだ。


ダルビッシュ有、大谷翔平の成功例はあるものの、この二人は別格でどこの球団に入ってもそれなりの成績を挙げているレベルで、大谷の二刀流成功は別にしてファイターズが育てたとは言い切れないように思える。この二人を別にすると、他に高校から入団した投手の成功例がなかなか出てこないのである。


強いていえば吉川光夫が入団六年目に145敗、防御率1.71の成績を挙げてMVPを獲得したがその後パッとしない年が続き、ジャイアンツに移籍した。昨年、上述の上沢(専大松戸高 2011年ドラフト5位)と石川直也(山形中央高 2014年ドラフト4位)の成功があって流れが変わるかもしれないが、世間が抱く“育成のチーム”と言うイメージほどにはファイターズは高校生投手を育てるのが上手くはないと思えて吉田輝に対しても不安なのである。


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先日今年の野球殿堂入りが決まった中の権藤博さんは佐賀県立鳥栖高校、社会人のブリヂストンタイヤを経てドラゴンズ入りした昭和36(1961)にルーキーながら4291/3を投げ、35勝を挙げた。二年目も30勝を挙げたのだが右肩が悲鳴をあげ、この二年間の65勝を含めて通算82勝に終わった。典型的な“太く短く”だった。だが殿堂入りしたのはその現役時代ではなく、引退後のコーチ、監督として各球団で先発投手とリリーフの分業制を敷くなどした功績が評価されてのことと思われる。


権藤さんが35勝を挙げたのは58年前のことである。時代が違う。ただ、その間の58年間、権藤さんに限らないが投手の登板過多を防ぐ試み、改革は数々為されて今日に至っている。一方で高校野球においては改革というにはスピードが遅すぎる印象がある。


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日の野球殿堂入り通知式で権藤さんを祝福するスピーチを行った杉下茂さんは「昔の監督は投手を潰してナンボ」、「名監督と言われた人は投手を潰した」と当時の事情を皮肉る一方で「名古屋のファンは権藤君が投げないと気が済まない感じで煽っていた」と当時の地元ファン気質にも苦言を呈していた。


吉田輝にも当てはまるだろう。甲子園大会での投げ過ぎを懸念する向きがある一方で「腕も折れよ」とばかりに力投する投手を絶賛する風潮があるのも事実。秋田県ばかりか東北地方を代表している感じになっており、吉田輝のコンディションが最優先されたとは思えない状況になったのかもしれない。


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余談だが一月場所の途中に現役引退を表明した横綱稀勢の里寛にもこの図式が当てはまるように思える。今は引退表明直後ということもあって稀勢の里の人となりがメディアでやたらに持ち上げられているが、一年以上にわたって横綱を全う出来なかった力士である。しかもその最大の原因となった故障が土俵の上に端を発しており、その過程が元貴乃花という前例がありながら多くのファン、メディアが“奇跡の優勝”と持ち上げた結果がその後の稀勢の里である。貴乃花の前例がありながら、あの“奇跡の優勝”を持ち上げていたファンにその後の球場続きを批判することは出来ないだろう。


ただ、常識では考えられない日本シリーズでの連投をこなした田中将大が翌年以降戦いの場を移したメジャーの舞台で五年連続二桁勝利を挙げており、ゴールデンイーグルス時代から継続して十年連続二桁勝利を挙げている現実もある。吉田輝に関してもファイターズがきちんとケアをすれば期待通りの活躍をしてくれるかもしれない。


ファイターズの投手陣を見ると、上述の上沢とマルティネスの他に、復活を期待したい有原航平ともうちょっと安定感が欲しいサウスポーの加藤貴之を含めて先発ローテーションを組んで欲しいし、二人の新外国人投手のうち、ジョニー・バーベイト を先発陣の一角と期待しているという。うまくいけば五人まで固まる。


昨年は高梨裕稔が途中まで先発ローテーションの一角を担っていたが、成績を落として813日に登録抹消となるまでに18試合に登板して57敗、110回を投げて防御率4.50だった。ファイターズは高梨が抹消された813日以降19221引き分けだった。それまでが55442引き分けでこの時点で首位ライオンズを5ゲーム差で追う2位に付けていたが、失速して23日にホークスと入れ替わって3位に落ちるとそのまま3位で終わった。


これは高梨がどうのというより、一人先発ローテーション投手に何かあったらそのリカバリーが出来ない状態だったということを意味していると思う。それを考えれば今季の先発ローテーションもまだまだ不安は残る。だが、だからといって素材が良かろうと高校卒ルーキーに頼るチームではないだろう。


ファイターズは昨秋のドラフト会議で吉田輝を始め昨夏の甲子園大会で活躍した選手を指名し、ネットでは“『熱闘甲子園』ドラフト”と持ち上げられ、著名なコラムニストまでそれに乗っかっていた感じだったが、高校生の大量指名の背景に2023年に開場する新本拠地があることは容易に想像出来るであろう。入団五年目になる彼らに新本拠地で大暴れして欲しいものだ。吉田輝に限らず、高校卒一年目のルーキーに初年度から期待をするのは如何なものかと思う。


横綱稀勢の里は引退会見で言っていた。


「ケガする前の自分に戻すことはできなかったです」


この言葉をまた聞きたくない。



「今年のファイターズには頼もしいルーキーが入ってきた」くらいに構えて吉田輝フィーバーにも距離を置こうと個人的には思っている。鎌ケ谷は昨年に続いて大変なことになりそうだが。

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