フォト
無料ブログはココログ

« eBASEBALLは面白い! | トップページ | 今年もファイターズの新入団選手歓迎式典・交流会に行ってきた。 »

2019年1月12日 (土)

巨人軍は非情か

Adsc_0143
ジャイアンツがフリーエージェント権を行使した他球団の選手を獲得するのは毎度のことなので驚かないファンも、さすがに人的補償で内海哲也、長野久義と生え抜きの功労者を相次いで手放すことになって驚いているだろう。ジャイアンツファンも、そうでない人も。


内海と長野は二人ともジャイアンツ入団前にドラフト会議で他球団から指名されながらそれを拒否してジャイアンツからの指名を待った選手という意味でも衝撃に拍車がかかっている。


人的補償の28人のリストは非公開なので誰がプロテクトされて誰がプロテクトされていないのかはわからないが、その人選に“全権監督”と言われる原辰徳監督の意向が強く働いていることは容易に想像できる。


7日にカープが求めた人的補償が長野だと判明してから様々な憶測がなされているが、敗戦処理。なりに原監督の腹の内を推測してみた。



フリーエージェント制度が出来た当初から、この制度でジャイアンツのように資金力のある球団に有力選手が集まるだろうという推測は立っていた。だが、単にFAで有力選手を引き抜いた球団が勝つというのではなく、引き抜いた球団は元の所属球団に対して金銭補償または人的補償をつけなければならないように設定された。先行するアメリカ大リーグではFA補強の見返りにドラフト会議での指名権の一部を手放す決まりがある様だが、日本ではFA制の確立と同時期にドラフト制度においても大学生と社会人野球の選手に対して一部ではあるが球団と相思相愛になれば選手の方から入団希望球団を選べる逆指名制度が誕生したこともあって、FA制とドラフト指名のリンクは無かった。


時あたかもサッカーのプロリーグであるJリーグの発足により危機感を覚えた日本のプロ野球界は魅力あるプロ野球界に見せるために、まずは入り口であるドラフト会議で一部の選手だけではあるが相思相愛である球団に入れるように改革するとともに、入団後も一定の登録期間を経れば自由に他球団と交渉できるFA制をスタートさせた。


当時ジャイアンツも二年続けてリーグ優勝を逃していて、テレビ視聴率にも陰りが出始めていた。自軍に有利なFA制度とドラフト改革を推し進める意味ではサッカー、Jリーグの脅威はむしろ格好の口実になり、選手会の要請とも同調する形で制度改革が実現。監督にプロ野球興隆の象徴そのものとも言える長嶋茂雄を返り咲かせ、FAにおいては初年度から落合博満を獲得するなどその恩恵を最大限に活用した。


そうした中で時に人的補償を求められて泣く泣く選手を手放すこともあったが、過去の経験値からFA補強に人的補償は付きものだと特に原辰徳監督は割り切っているのだと敗戦処理。は推測している。


これはあくまで推測だが、もしもFA制が無く、それでもジャイアンツが丸佳浩を獲得したいと思ったら、カープに対してトレードを申し込むしかない。だが、普通に考えてカープがトレードに応じるとは考えられないし、百歩譲ってトレードを考えるにしても、それこそ菅野智之坂本勇人クラスを見返りに要求するだろう。だがFA制度がある今日では、FA件を取得してなおかつ行使するという前提はあるにせよ、本人と合意すれば所属球団が嫌がろうと丸をジャイアンツは獲得できるのだ。そして人的補償という制度で実質的に交換トレードに近い形になるにしても、この選手は出したくないという選手を28人もプロテクトできるのだ。今回のように長野久義、あるいは内海哲也といったレベルの選手が流出したことで“FA補強という名の交換トレード”と訳知り風に解説する人もいる様だが、かつての交換トレードだったら長野で丸を獲得できることは無いだろう。そう考えれば、もちろん28人のプロテクト選びには慎重を期するだろうが、FA補強に躊躇する必要など全くないとジャイアンツ、あるいは“全権監督”である原監督が人的補償による(プロテクトする28人以外の)選手の流出などお構いなしに補強優先と考えても何ら不思議ではない。


敗戦処理。は昨年1220日付エントリー内海哲也、人的補償でライオンズ行きの衝撃!! で、事前にライオンズ宛のプロテクト28人を予想したツイートを引用した。内海がプロテクト漏れすることはあると思った。さすがに長野はプロテクトされると想像していたが、プロテクト漏れしたということは、単純に必要な順に28人を選ぶとは限らず、複数年契約の途中の選手(森福允彦、陽岱鋼)はもちろんのこと、2018年度の新入団選手(鍬原拓也、岸田行倫、大城卓三ら)を含め、さらに例えば期待の若手選手としてファームで活躍した高田萌生、大江竜聖、和田恋などをプロテクトに加えると、結果としてベテランをプロテクトから外さざるを得なくなるのだろう。


奇しくもカープの緒方孝市監督がスポーツ報知の取材で「若い選手はほとんどプロテクトされていたが、長年巨人で働いていた選手はかなりリストから漏れていた。(後略)」と答えたらしく、波紋を呼んでいる。本来これは口にしてはいけないことであろう。緒方監督の見識を疑いたくなる。


ただそう考えると、長野に限らず、カープという球団が育成重視型の球団であり、かつての一岡竜司のように伸びしろのある若手でめぼしい選手がプロテクトされていなければ食指を動かすにしても、長野のようなベテランには手を出さないだろうと考えて敢えてプロテクトを外したという推測も成り立つが、内海に関しては敢えて外した理由が思い当たらない。ライオンズではサウスポーのエース、菊池雄星がポスティングシステムを利用して大リーグに移籍するのだから、菊池の代替えというほどには活躍を期待できないにせよ、同じサウスポーの先発型投手である内海をプロテクトから外すのは「欲しかったらどうぞ」と考えているとしか思えないのである。


石井一夫球団社長や大塚淳弘球団副代表といった球団幹部らのコメントを聞いていると「俺が悪いんじゃない。俺に聞かないでくれ」と言い訳しているようにしか思えない。ましてや長野に謝ったという大塚副代表は論外。


敗戦処理。が勤務しているような弱小企業でも誰もが驚くような仰天人事が断行されることがあり、異動する本人に内示を伝える上司が同情的なフォローをすることがあるが、それはその上司が単なる中間管理職で人事の決定権が無いから言われた本人にとっても救いの一言になることもあるが、大塚副代表は文字通りジャイアンツという球団の“副代表”なのである。


副代表や社長が及び腰になるようなプロテクトリストを作ったのは原監督であろう。これまた推測だが、副代表らが作った28人のプロテクトリストを見て原監督が「これじゃダメだ」と手直しをして最終決定している姿が目に浮かぶ。


長野や内海がプロテクト漏れする様な人選の是非はいろいろ意見が分かれるだろうが、原監督が直々にドラスティックに改革しない限りジャイアンツは変わらない。そう思われているからこその“全権監督”誕生だったのだろう。


他球団のファンやアンチ派らが、今回結果的に長野や内海を失ってしまったジャイアンツをあざ笑うかのようにネットで振る舞っているのが散見されるが、見方を変えれば(敗戦処理。の推測通りなら)少なくとも原監督はそんなリスクには目もくれずにとにかく戦力をアップさせることだけ考えて丸と炭谷銀仁朗だけで無く、中島宏之岩隈久志をも獲得。とにかく考えているのはリーグ優勝、日本一の奪回。そのために考えられる手はすべて打つ。個別に考えればツッコミところは存在するものの何が何でも優勝するという意気込みは伝わってくる。笑いたい奴は笑えばいい。


以上はあくまで推測だが、原監督の何が何でも優勝する。そのためにチームを大きく変えるという考えの背景はこんな感じでは無いか…。


ここから先は同じ推測でも週刊誌風な推測になる。


タイトルの『巨人軍は非情か』にピンとくる人もいるだろう。これはあの清武英利氏がジャイアンツの球団代表だった頃に『週刊ベースボール』誌に連載していたものをまとめた著書のタイトルである。もちろん当時はジャイアンツの中の人だから球団批判につながるようなことを書いていないが、例の“清武の乱”で退団してから書いた『巨魁』という著書を読むと渡邉恒雄氏との確執よりも原監督を軽く見ていることが推測できる。一方で原監督の方も自身の1億円スキャンダルや主力選手の契約金が規定を大きく超えていた件の発覚の黒幕を清武氏と決めつけ、例の「まだ間に合います」発言で攻撃した。


就任以来の原監督の行動には“反清武”色が濃く出ていると邪推している。


清武氏は、ジャイアンツが当時の自由獲得枠での獲得競争のために一場靖弘に対して裏金、いわゆる“栄養費”を払っていたことが発覚して当時の渡邉オーナー以下主要幹部が総退陣したときに球団代表に就任した。育成選手制度の確立やフューチャーズの結成などに手腕を発揮する一方、ジャイアンツにおいてもそれまでの補強一辺倒の感覚を改めるべく自らを球団初のゼネラルマネージャーとし、編成面でのトップに立った。ところが“清武の乱”で失脚すると、その後の球団代表は代々GM職を兼務するようになった。それは“脱清武”、“反清武”であったが、球団代表職とGM職双方が務まる人材はおらず、現場の責任者である原監督に編成面まで依存せざるを得なくなった。清武氏が失脚した2011年オフに村田修一、杉内俊哉をFAで獲得し、元の木阿弥という感じに。


ところがやはり監督一人に権限が集中しすぎるのは良くないということを読売本体が気づき、球団主体での人事に戻そうとして原監督と対立。急遽高橋由伸監督体制になった。


結果はご承知の通り、高橋監督で優勝できないとなると、原“前”監督に頭を下げざるを得ず、同時に原監督に“全権監督”になってもらわざるを得なくなった。


清武氏が初代となって、監督である自分の意向と異なる動きをしたGM制度は廃止。その清武GMの子飼いと見られていた岡崎郁は閑職を経てスカウト部長となっていたが解任と、今なお残る清武色の一掃を図っているようにも思える。また、自身とともに監督候補と見られていた二軍監督の川相昌弘にはファーム日本選手権後の宮崎で解任通告。要するに前回の監督を辞めた後のこの三年間を全否定しているに近い。


高橋監督を支えていたコーチ陣もほぼ全交代。その中には前回の原政権から引き続いてコーチをしている面々も含まれている。


逆に清武氏から権限を奪った後に迎え入れたFA戦士は手厚くもてなし、前出の杉内と村田は揃って二軍コーチに就任。コーチに残っていた片岡治大、金城龍彦に加え、引退してユニフォームを脱いでいた相川亮二も二軍のコーチに迎え入れた。2012年から退任までにFAで獲得した選手のうち、現役の大竹寛以外の5人が全員コーチを務めているのである。


だ、コーチングスタッフの顔ぶれ的には、貪欲なFA補強やシビアな人的補償流出に比べると、それに反して独断の度合いが強く、選手たちが本当の意味でついていくかは疑問。もう既に指摘されているがいわゆる“お友達内閣”と揶揄されている。


監督を辞めてからの三年間で力を入れていた活動の一つに、報知新聞社が主催し、株式会社ファンケルが特別協賛する『ファンケル キッズ ベースボール』という野球教室がある。ここで講師を務めたOBから、新たにコーチに就任したのがジャイアンツをはじめ、NPBでコーチ歴が無い宮本和知元木大介であり、昨年の一軍のコーチングスタッフで唯一残留したのも講師を務める吉村禎章だ。

◆ ファンケル キッズ ベースボール 講師紹介

野球教室での指導ぶりが評価されて現場に復帰した例としては水上善雄の成功例があるので即座に否定はしないにせよ、上手く機能しなかった時に叩かれる好材料であるだろう。


そもそも“全権監督”自体が時代にそぐわないと思われる。原監督に“□□(次の元号)の根本陸夫 ”となることも期待しているが、根本さんで古すぎるなら、例えば宮本慎也コーチが次期監督と目されるスワローズの小川淳司監督や、谷繁元信監督休養の後を受けての監督代行からそのまま監督となったドラゴンズの森繁和前監督がある程度編成面の権限も付与され、“今”と同時に将来を見据えて監督業を務めた姿を連想すれば良いと思う。


ジャイアンツは変わらなければならない。でも変わっていく途中においても強くあらねばならない。今季は優勝したい。そうなれば今季優勝のために補強に犠牲をいとわず、かつ将来のための備えもしなければならない。今進めていることがそのための最善かどうかは疑わしいにしても、とにかくジャイアンツは進んでいるのであろう。そう信じるしか無い。

« eBASEBALLは面白い! | トップページ | 今年もファイターズの新入団選手歓迎式典・交流会に行ってきた。 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 巨人軍は非情か:

« eBASEBALLは面白い! | トップページ | 今年もファイターズの新入団選手歓迎式典・交流会に行ってきた。 »

2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック