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2019年1月24日 (木)

走られない捕手、走らせない捕手。

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前エントリー西川遥輝、盗塁成功率.873の脅威 でファイターズの西川遥輝の盗塁成功率の高さを取り上げたが、その西川の昨年の盗塁刺3はすべてホークス戦であった。西川を刺したのは“甲斐キャノン”こと甲斐拓也2度、高谷裕亮1度。


甲斐の昨年の盗塁阻止率は.447で守備率の規定出場数以上の捕手では十二球団最高であった。昨年の日本シリーズで本領を発揮した様に盗塁を試みた走者はことごとく餌食になった。だが、本当に甲斐が最も盗塁をさせない捕手と言えるのだろうか?別の指標を考えてみた。

 



古い話になるが、昭和末期から平成に成り立ての頃の日本プロ野球。ドラゴンズからライオンズに移籍した外野手の平野謙はセ・リーグからパ・リーグに移っても自慢の肩で相手の走者をアウトにするのが自分の見せ場だと思っていた。ドラゴンズ時代、主にセンターを守っていた平野は勝負所で何度となくその強肩で相手走者を刺してきた。当然ライオンズでも…と考えていたがライオンズの森祇晶監督はそれを否定した。森監督が求めていたのは走られた走者を刺すことよりも走者に走られない守備だったそうだ。好返球で相手の走者を刺せばアウトを稼げるが、悪送球で余計に進塁されるリスクも無くはない。それよりも「平野のところに打球が飛んだら無理をさせない」相手チームの走者や三塁コーチにそう思わせる選手になれと言われたそうだ。


その感覚からすると、昨年の日本シリーズ、もしもホークスの監督が森祇晶監督だったなら甲斐拓也に対して「六回盗塁を刺したというけれど、六回も走られたということだろ」と否定されたかもしれない。甲斐は走られた走者を刺すことに関しては優れているが、走らせない域には達していないのか?



昨年の十二球団の正捕手の盗塁阻止率を比較してみる。正捕手の定義は各球団で最も多く捕手として出場した試合が多い捕手とする。

甲斐拓也   133試合 盗塁刺34 許盗塁42 盗塁阻止率.447
森友哉    81試合 盗塁刺25 許盗塁42 盗塁阻止率.373
小林誠司   119試合 盗塁刺15 許盗塁29 盗塁阻止率.341
梅野隆太郎 132試合 盗塁刺24 許盗塁51 盗塁阻止率.3200
田村龍弘   143試合 盗塁刺39 許盗塁83 盗塁阻止率.3197
嶋基宏     112試合 盗塁刺34 許盗塁75 盗塁阻止率.312
若月健矢   114試合 盗塁刺19 許盗塁43 盗塁阻止率.307
【参考】十二球団総盗塁阻止率.295
中村悠平   123試合 盗塁刺19 許盗塁47 盗塁成功率.288
會澤翼     103試合 盗塁刺13 許盗塁40 盗塁阻止率.245
清水優心    83試合 盗塁刺14 許盗塁44 盗塁阻止率.241
嶺井博希    90試合 盗塁刺9 許盗塁39 盗塁阻止率.188
松井雅人    91試合 盗塁刺8 許盗塁39 盗塁阻止率.170

さすが、“甲斐キャノン”の異名は伊達じゃない。十二球団の正捕手の中でただ一人、盗塁阻止率を四割台に乗せている。


では、走らせない捕手は誰なのか?盗塁を成功させない捕手ではなく、そもそも盗塁を企図させない捕手は誰なのか?という意味で盗塁企図(盗塁刺+許盗塁)の少なさを比較する。投手の防御率の計算式を参考に、その捕手が1試合(9イニング)マスクをかぶる間に何回盗塁を企図されるかを計算で出す。幸いにもデルタのサイトで各正捕手のマスクをかぶったイニング数がわかる。


(盗塁刺+許盗塁)×9÷イニング数=盗塁企図指数

当然ながら数値が小さい方が、より“走らせない”捕手ということになる。上述の十二人の正捕手を盗塁企図阻止率の良い(数値が小さい)順に並べてみる。

小林誠司    794回    企図数44 盗塁企図指数0.50
會澤翼     7891/3 企図数53 盗塁企図指数0.60
中村悠平    9681/3 企図数66 盗塁企図指数0.61
梅野隆太郎 1054回    企図数75 盗塁企図指数0.64
若月健矢    832回    企図数62 盗塁企図指数0.67
松井雅人    626回    企図数47 盗塁企図指数0.68
嶺井博希    592回    企図数48 盗塁企図指数0.73
甲斐拓也    919回    企図数76 盗塁企図指数0.74
十二球団総盗塁企図指数0.86
清水優心    5911/3 企図数58 盗塁企図指数0.88
森友哉      6661/3 企図数67 盗塁企図指数0.91
田村龍弘   11572/3 企図数122 盗塁企図指数0.95
嶋基宏      923回    企図数109 盗塁企図指数1.06

この指標だと甲斐は一気に8位に落ちる。盗塁阻止率で3位だった小林誠司が第1位に浮上する。つまり走った走者を刺す確率は甲斐が最も高いが、そもそも相手走者を走らせないのは小林が一番ということになる。


だとすると、何故ホークス戦の相手チームの走者はアウトになる確率が高いのに、捕手甲斐に対して盗塁を試みるのか?という疑問がある。



ひとつ言えることは例えばホークスではリック・バンデンハークはパ・リーグで最も多く盗塁を試みられた(企図された)投手だそうだ。見た目にもモーションが大きい。これなら走れると思って盗塁を試みるも“甲斐キャノン”の餌食になるのだろうか?


因みにセ・リーグで最も多く盗塁を試みられた投手はカープのクリス・ジョンソンだがジョンソンが投げるときは會澤翼ではなく石原慶幸がマスクをかぶることが多い。ジョンソンの投球フォームが左投手である割には走りやすいのか、それとも石原が年齢的に肩に不安が出ているのかどちらも考えられるが會澤翼が走られにくいのはジョンソンと組まないことも一因となっているかもしれない。


今書いたように盗塁阻止は投手と捕手との共同作業であろう。里崎智也がNHKBS1の『球辞苑』などで「盗塁を決められるのは80%~90%投手の責任」と言っているが、捕手の肩がものを言っているというのはあろう。


小林のように盗塁阻止率も高く、かつ盗塁企図指数も低い捕手こそが走られにくい捕手と言えるのではないか?フリーエージェントで移籍してきた炭谷銀仁朗の守備イニング数を把握していないが盗塁阻止率は盗塁刺5、許盗塁27で.156。主にバッテリーを組む菊池雄星が左投手であることを考えると…。


ただ個人的には相手捕手が盗塁しにくい捕手だからといって盗塁をしない様な野球は程度にもよるがあまり好きではない。盗塁というプレーのスリリングさは野球の醍醐味の一つであると思っている。セイバーメトリクス的にどうのと言われる様だが、そうやって野球の醍醐味を一つずつそいでいったら野球はきっと面白くなくなると思う。もちろんだからといって昨年の日本シリーズのカープのようにいくらアウトになっても闇雲に走れとは言わない。走る以上は成功しなければならない。


その意味では冒頭に書いた西川遥輝は“甲斐キャノン”に対して2度盗塁を刺されているが成功したのが4度で甲斐に対しても盗塁成功率は.667(西川個人の盗塁成功率に比べると低いが)と健闘している。


小林には炭谷という強力なライバルがあてがわれる。“甲斐キャノン”要注意ということで今季は甲斐に対して相手チームも走るケースが多少は減るであろう。今季終了後にも捕手の守備イニング数と盗塁阻止率がわかるようだったら、上記二つのランキングがどう変わるか、再び取り上げてみたい。

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