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2018年6月28日 (木)

漫画『ドカベン』連載終了。-水島新司先生に期待する次回作ともうひとつ…

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本日28日発売の『週刊少年チャンピオン』712日号(秋田書店)を以て水島新司氏の漫画『ドカベン ドリームトーナメント編』の連載が終了した。同時に、長く続いた『ドカベン』シリーズの最後となった。


敗戦処理。も子どもの頃からずっと読み続けてきた作品だけに感慨が深い。


水島新司先生、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。


(写真:登録名“あぶさん”でマスターズリーグに出場する水島新司氏。 20091月撮影)



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敗戦処理。は年齢的には漫画をとっくに卒業していなければならない年齢だが、『ドカベン』各シリーズは例外。この『ドカベン ドリームトーナメント編』水島新司作品の集大成になるだろうことは想像ついた。『ドカベン』の最終話と『ゴルゴ13』(さいとうたかをプロ作品 小学館・ビッグコミック連載)の最終話までは気を確かに生き続けたいと頑張ってきたが、とりあえず一方をクリアした。


『ドカベン ドリームトーナメント編』にはおなじみの山田太郎、岩鬼正美、里中智、殿馬一人といった明訓高校時代からの出演者ばかりでなく、他の出版社の作品の登場人物が作品や出版社の垣根を超えて出演して山田らが所属する東京スーパースターズの対戦相手になっていた。
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水島作品の集大成ということは最後、決勝戦の相手は福岡ソフトバンクホークスで九回表に代打・景浦安武に一度は逆転本塁打を浴びて、そこから山田に再度試合をひっくり返す逆転サヨナラ本塁打が出て大団円になるものと決めつけていた。そのために一足早く『あぶさん』(小学館・ビッグコミックオリジナル)の連載を終わらせていたのだろうと想像していた程だ<苦笑>


だが決勝の相手は明訓高校時代の同級生、微笑三太郎が率いて、中西球道らが所属する京都ウォーリアーズだった。実在の十二球団プラス架空の四球団、合計十六球団が高校野球の聖地、甲子園球場に集まってレギュラーシーズンの前にトーナメント大会を開くという設定だが、十六球団によるトーナメントなので決勝戦まで残るチームの試合数は四試合だが、四試合消化するのに約六年かかっている計算になる。このドリームトーナメントの企画の宣伝チラシを秋田書店の担当者が配布していたのをもらったのが、当時201210月に月島で行われていた第二回目の『東京野球ブックフェア』での出来事であったことを考えると、個人的にはその長さを感じる。


東京スーパースターズは決勝に進出するまでの三試合すべてを山田のサヨナラ本塁打で勝ち上がり、この決勝戦でも延長十二回に一打サヨナラという場面で山田に回るというのが前号までのあらすじ。ここから先はこれから最終話を読む人のために伏せておこう。


水島氏の作品ではこの『ドカベン』もそうだがかつての『巨人の星』星飛雄馬に象徴されるような魔球の存在はなく、超人対超人の対決という構図がないのが長く支持された要因という見方もあるようだが、あり得ないほどの完璧な強打者である山田はともかく、普通のストライクを打てないのにとんでもない悪球を超特大の本塁打にする岩鬼や秘打の殿馬の存在がそれに近かった。個性溢れる登場人物あってこその作品だと思う。山田や岩鬼らを擁する明訓高校や東京スーパースターズが絶対王者ではあるが、これまた個性派の強力ライバル達がその前に立ちはだかり、山田らがそれを倒すという構図。これが明確に描かれていることが長く支持された要因かもしれない。個人的には『ドカベン』は山田太郎が主役で、『大甲子園』は岩城昌己が主役だと勝手に思っているが。


また、野球協約で女性がプロ野球選手になることが認められていなかった時代に『野球狂の詩』水原勇気を登場させてその実力と野球に取り組む姿勢で協約の壁をこじ開けさせたとか、十二球団すべてを架空の球団にして架空の選手を登場させて水島氏が感じる理想のプロ野球を提起した『光の小次郎』など、野球界に対する強力なメッセージ性の強い作品も描いている。


『野球狂の詩』では女性である水原を岩田鉄五郎投手と五利一平監督が率いる東京メッツがドラフト1位で指名するところから始まる。水原の実力を認めさせて野球協約の例外として選手契約を認めさせようとする岩田と五利は阪神タイガースとのオープン戦で一回裏の二人目の打者から水原を登板させる。コミッショナーは激怒するが勝利投手になれば水原を選手と認めるとし、メッツは何が何でも水原を勝利投手にさせようと守備、打撃で援護する。


今だったら絶対にネットで指摘されていただろうが、水原は先発投手ではないので必ずしも五回を投げきらなくても勝利投手になれるのだが作品では何とかリードして水原に五回を投げ切らせようと必死になっている。水原は阪神打線の猛攻に五回持たずにKOされるが、コミッショナーは水原の選手登録を認める。


実は水島氏は事前に「女性のプロ野球選手を作品で描きたい」として野村克也に相談。女性はスタミナがないけど例えば左の変則投手なら通用するのではないかとの野村のアドバイスを参考にしたという。因みに『あぶさん』も大酒飲みのプロ野球選手を描きたいと言うことで野村に相談し、一打席勝負の代打要員ならとアドバイスされたという。


高校野球をテーマにしたはずの『男どアホウ甲子園』では高校野球だけでは飽き足らず主役の藤村甲子園岩風五郎のバッテリーを東京大学に入学させて万年最下位の野球部を強くさせようとし、かと思えばミスタージャイアンツ、長嶋茂雄の現役引退が近いと見るや東大を中退して阪神タイガースに入団。実際に話題になった長嶋茂雄最後の甲子園で長嶋との対戦を果たす。この『男どアホウ甲子園』は小学館の『週刊少年サンデー』に連載。阪神の藤村や岩風を描く分には問題ないのだが、長嶋のいるジャイアンツを描くには肖像権の問題があり、この当時は『侍ジャイアンツ』、『炎の巨人』を連載した『週刊少年ジャンプ』の集英社が独占契約を結んでいたのだ。だが一説によると当時の『週刊少年サンデー』の編集長が「先生はそういうことを気になさらずに描いてください」と暗躍したとか。


このようにかつての水島作品には頻繁に実在のプロ野球選手が出てくる。『ドカベン』でもプロ野球編では最初に入団した球団が、山田は西武ライオンズで岩鬼は福岡ダイエーホークスと実在の球団に入り、実名の選手らとプレーしていたが『…ドリームトーナメント編』でもいつしか出てこなくなる。これは上述のような独占契約の弊害ではなく、野球機構と選手会が野球漫画に対して高額の肖像権料を設定したからと言われているが、各出版社が軒並み反対の意思表示をする中、よりによって水島先生が「当然の権利だ」と選手、機構側についてしまったとか。


当の水島作品でも『あぶさん』でホークスに入団した外国人選手のウィリー・アップショーがなかなか日本で本領を発揮出来なかったので主人公の景浦がアップショーを映画鑑賞に連れ出し、当時日本で公開していた『メジャーリーグ』を見せるという作品を描いたところアップショーの代理人から高額な肖像権料を請求され、以後、外国人選手を極力描かないことにしたという。


『あぶさん』では王貞治監督の退任が決まった時にパ・リーグの他球団の監督が感想を語るシーンが出てくるが、マリーンズのボビー・バレンタイン監督は後ろ姿で背中を震わせ「サビシイ」と一言呟くだけだった。


『ドカベン』の連載開始から46年だという。長い。さすがに後期にはマンネリだの水島先生の衰えを指摘する声も少なくなかった。だが野球選手も経年で衰えを迎えるのだから、野球を題材にする漫画家に経年での変化があって不思議でない。この『ドカベン』に限らないがこれだけ長く野球ファンの楽しみを提供してきた貢献度に報いるためには水島新司先生に野球殿堂入りの栄誉で応えるのが一番だろう。既に今年1月に発表になった投票では特別表彰部門で水島先生に3票が投じられたという。

 

野球殿堂の特別表彰部門は

対象
者: ①現役を引退したアマチュア野球の競技者(選手、コーチ、監督)で、選手は引退後5年、コーチ、監督は引退後6ヶ月以上経過している人。

②プロ及びアマチュア野球の審判員で、引退後6ヶ月以上経過している人。

③プロ及びアマチュア野球の組織または管理に関して野球の発展に顕著な貢献をした人、しつつある人。

④日本の野球の普及及び発展に顕著な貢献をした人、しつつある人 


水島氏はこの④に当てはまるだろう。日本の野球殿堂には選ばれて当然なのに選ばれていない人が何人もいるが、水島氏のような形での“貢献”が殿堂入りという形で報われるようであって欲しいと敗戦処理。は個人的には願っている(他には『プロ野球ニュース』司会における佐々木信也氏など)。


『ドカベン ドリームトーナメント編』の最終話の結びに水島新司氏からのメッセージが描かれている。その結びは

そしてまたいつの日かお会いできる日を楽しみにしております。

となっている。水島先生にはしばしの休養の後、『ドカベン マスターズリーグ編』を描いて欲しい。今度は出版社の垣根だけでなく時代の垣根も取り払って水島ワールドを描けるのだ。

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コメント

ドカベンがおわってからドカベン像撤去すればよかったのに…
インスタ映えがお嫌いなのかな…

個論様、コメントをありがとうございます。

> ドカベンがおわってからドカベン像撤去すればよかったのに…

それは知りませんでした。

残念ですね。

“ドカベンスタジアム”の愛称は今まで通りなのですよね?

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