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2018年4月28日 (土)

井野修氏「申告敬遠は試合時間短縮を意図したものではない」

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日、ジャイアンツ対スワローズ戦が行われた東京ドームの21番ゲート横に入口がある野球殿堂博物館で行われたトークイベント『2018年の野球規則改正』を聞いてきた。


いわゆる申告敬遠やリクエストといった新しいルールを導入した今季のペナントレース。開幕してほぼ一ヶ月経過したということで、規則委員、審判長、記録データ管理部の記録課長によるトークイベントが開かれた。



一般社団法人日本野球機構(NPB)、井野修野球規則委員、友寄正人審判長、記録データ管理部の山川誠二記録課長によるトークイベント。元審判長でもある井野規則委員が主となっての進行。なおトークイベント中の動画、写真撮影を禁じられたのでメモと記憶で書いていく。


NPBの今シーズンからの規則改正といえばいわゆる申告敬遠制度とリクエスト制度の導入と、二段モーション規制の緩和。井野氏がまず、申告敬遠制度導入の背景を語った。


基本的に日本の野球界ではアメリカで規則改正がなされた一年後に同じ改正を行う。本当なら同時に改正する方が良いのだろうが、アメリカで新しい規則などが決まるのがだいたい1月の下旬。すぐに右に倣えという訳にも行かない。日本ではプロ野球の春季キャンプが始まるのが2月の頭だからだ。NPBだけではない。アマチュア球界でもすぐにという訳にはいかない。そこで一年かけて検討した上で翌年の規則委員会で改正に至るそうだ。


アメリカ大リーグでは昨年から申告敬遠制度を導入している。慣例に従えば日本でも今季からということになるが、投手が投げないで打者に一塁進塁を与えるという制度はさすがに野球の根底を覆すというレベルに近い改正に当たるので、規則委員会ではいろいろと聞き取り調査を行ったそうだ。


野球ファンの間でも議論があったが、申告敬遠を導入すると、過去に敬遠の投球を打者が痛打したり、あるいは投球の加減を誤って“暴投”になったり等といった極めて稀ではあるがそういった敬遠にまつわるドラマがなくなるから味わいがなくなるという感覚に近い反対意見は、OB達の間からは多かったが、現役の野球人達からは反対意見が少なかったという。ただ単に四回投球が往復する間を、間が悪いと感じる意見が多かったという。井野氏自身も、個人的意見と断った上で、敬遠というのは基本的に投手が相手の打者にまいりましたと頭を下げる代わりに明らかなボール球を四回投げるものであるから、打者がそれを打つのは正々堂々とした勝負ではない。敬遠の球を打って本塁打等というのはドラマではない。だから申告敬遠に賛成という立場だと語った。


井野氏は二段モーション規制の緩和にも言及。これも一年がかりで議論を重ねた結果であるといい、昨年のシーズンでライオンズの菊池雄星の投球フォームにクレームが付いた件に関しては、昨シーズンの時点での基準に反していたからクレームが付くのは当然だが、改正への議論を重ねていた時だったので、菊池のためにルールが見直されたと思われるのではないかとハラハラしたと語っていた。


続いて記録データ管理部の山川記録課長が、データ管理部の課長らしく、前日までの両リーグの公式戦で記録された申告敬遠の一覧表を表示。前日の427日現在でパ・リーグ、セ・リーグともに65試合ずつが行われて申告敬遠の回数がこれまた両リーグともに19回。両リーグ合計130試合で38回となり、年間で約250回というペース。最近三年間の敬遠(故意四球)2017年が両リーグで90回、2016年が132回、2015年が106回だから、例年の二倍のペースだという。山川氏の分析によると、記録上敬遠(故意四球)となるのはフォアボールになる最後の投球において捕手が立ち上がって投球を外す場合に限定しているので、敬遠の投球を苦手としている投手に捕手が座ったままで打者との勝負を避けたケースがカウントされていないから記録上の敬遠数と実際の故意四球の回数が違うからとのこと。敗戦処理。は“申告敬遠ではそんなに試合時間が短くならない。試合時間を短くしたいのなら敬遠の時の投球を省くより、本塁打の時のベース一周の時間を省いた方が良い。年間の敬遠数と、本塁打の数を比べれば一目瞭然”と考えていたが、この“隠れ敬遠”の回数は計算外だった<>。もっとも、昨年までの“隠れ敬遠”を加えての申告敬遠の回数を数えても両リーグの本塁打数の合計を上回らない(427日現在、申告敬遠38回。本塁打数200)


38回の申告敬遠の一覧表を見ると、好調ライオンズは申告敬遠をしてもいないし、されてもいない十二球団で唯一の球団。山川氏はその理由を、打線が打ちまくって独走に近い状態で大勝する試合も多い。接戦が少ないから敬遠をすることもされることも少ないのだろうと分析していた。そもそも敬遠四球が発生するケースはその打者と次の打者に格差が大きい時が多い。上位打線も下位打線も満遍なく高打率のライオンズ打線が相手では敬遠策を獲りにくいというのは推測できる。


因みに山川氏によると従来通りの、捕手が立ち上がって投球しての敬遠は今季まだ一回だけ。マリーンズの涌井秀章がバファローズ戦で、T-岡田を相手に記録している。涌井はこの直後に降板した。涌井が投げなくても済む4球を投じて敬遠したのは、次の投手の準備のためではないかと山川氏は“想像ですけど”と断った上で分析していた。


最後の友寄審判長がリクエスト制度を説明。最初に監督による“リクエスト”の意思表示の方法を説明。監督が両手でテレビ画面を表す四角いポーズを作るとともになく表情をすると説明。『涙のリクエスト』と言って笑いを取っていた。「よかった。わかる人がいて」とご満悦だった。そしてまずはリクエスト制度の対象にならない八項目を挙げた。

(1)投球の判定=ストライクかボールか
(2)
打者のハーフスイング
(3)
自打球が当たったかインプレーか
(4)
守備妨害
(5)
走塁妨害
(6)
塁審より前方の打球判断
(7)
インフィールドフライ
(8)
ボーク

この八項目を書いたカードを審判員は試合中に携行し、各監督にも渡してあるという。


にもかかわらず、小川淳司監督は…。


自打球が当たったかインプレーか、塁審より前方の打球判断に関しては、例えば審判がファウルと判定したものを検証してセーフと判定を覆した時に、打者や走者は最初にファウルと判定された時点で走塁をやめてしまうので後からセーフと覆ってもどうしようもないからだそうだ。守備妨害や走塁妨害に関してはグラウンドでのプレー中の審判員の判断で判定されるものであるから、それをビデオで後から見てもそれも審判員の判断であることに変わりはないからだそうだ。


友寄氏によると申告敬遠のデータのように、今季のこれまでの公式戦でのリクエストの回数や判定が覆った回数のデータも持ち合わせているが公開はしなかった。その理由はまだコミッショナーにも報告していないからと冗談っぽく言っていたが、ゴールデンウイーク終了後にその時点での集計が発表される予定だそうだ。因みに一年早く“チャレンジ”制度として導入したアメリカ大リーグでは昨年一年間で“チャレンジ”によって判定が覆ったケースが49%と約半分だったそうだ。


イントロダクションを兼ねた井野氏の説明に時間がかかりすぎ、山川氏と友寄氏の時間が短くなり、最後の質疑応答も短縮されてしまった。敗戦処理。も一つ質問を思いついたが自重した。それでも審判員のユニフォーム変更に関する質問や、スコアブックの記入方法というこのトークイベントに直接関係ない質問が為される中、「リプレイの映像を見てもそれでも微妙で、審判団の意見が分かれた時はどうするのか?」、「リプレイ検証は抗議がなくても審判員が判定に迷った時に審判団の判断でも行えると聞いたが、その場合でも球場のビジョンでそのシーンが再現されるのか?」等の質問がなされた。前者に対しては、リプレイ検証を見ても微妙で判断に迷う時には審判員が下した判定通りにすることにしているとのこと。後者に対しては抗議によるリプレイ検証の時と同様にグラウンドのビジョンでそのシーンを再現するとのこと。この質問者は昨年までグラウンドのビジョンでクロスプレーのシーンが再現されないことに不満を持っていて、お金を払っている入場者が肝心のシーンの再現を見ることが出来ないのに、家でテレビを観ている人が再現シーンを見ることが出来るのは本末転倒だとも言っていた。この不満は敗戦処理。も持っていたが、敗戦処理。に言わせれば飛行機の機体にポケモンなどの人気キャラクターのイラストが描かれているのと並ぶ二大矛盾だと思う。機体のイラストは外から見る人は楽しめるが機内の人が楽しめないのと同じだからだ<>


また、リプレイ検証をしている部屋では何台のビデオ映像で検証しているのかという質問も飛んだが、基本的にテレビ中継をしている局の映像を見ているだけで、グラウンドのビジョンで再現されるものと同一。部屋には二台のビデオ機材があり、一方はそのまま中継を見るためで、もう一台でその部分をコマ送りにしてみたりして確認するという。


そして最後に、冒頭のタイトルの答えが出る質問が出た。「申告敬遠を導入するか否かと言う議論が出た時に、あたかも申告敬遠を導入すれば試合時間短縮に繋がるかのような見方があったが、今日の話ではそのことが出ませんでしたが、試合時間短縮とは関係ないということですか?」これはいい質問だと思った。こういう極めて良い質問が出るのに時間の制約があったのか、自分が10分で終わらせなければならないのを30分も話し続けたことを忘れたかのように質疑応答のコーナーを早く終わらせようとしていた井野氏の態度にはがっかりさせられた。


井野氏は、規則委員会では試合時間短縮の話は出なかった。アメリカ大リーグで試合時間短縮に繋がらなかったから。では何故導入したかといえば現場でプレーする選手達の声で、アメリカに倣って導入した方が良いからだとのことだった。


個人的には、リクエスト制度導入による試合時間の長期化の要素の方が大きいだろうから、申告敬遠で少しでも試合時間を短く出来ればと最近になって割り切るようにしているのだが、この事実を聞いていささか拍子抜けした。


投手が一球も投じないで打者に四球が与えられる。「審判がアウトと言ったのだからアウト」だった野球の“当たり前”が当たり前でなくなるこの二大改正(改“正”と言えるかという意見もあるが…)に関するトークイベントで興味深い話が聞けてよかった。ジャイアンツ戦が行われるのに試合を見ずに帰るのが複雑な思いになったが、良いトークイベントを聞くことが出来た。井野氏を悪く書いたからか、最後のプレゼント抽選ではカスリもしなかったが…。


P.S.
【今日のオマケ】
野球殿堂博物館だけに、殿堂入りレリーフの展示コーナーでは
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