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2017年4月10日 (月)

侍ジャパン小久保裕紀監督の忖度。

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もう公式戦が始まって一週間を経過したから、今さらWBCの話をするのもナンだが、WBCで登板した投手が一通り所属チームの公式戦で登板をしたこともあり、WBCでの投手起用を振り返ってみた。


二大会連続で準決勝敗退という結果に陥った侍ジャパンだったが、指揮官である小久保裕紀監督の“忖度”が随所に見られた!?


(写真:所属のライオンズでは万能型のセットアッパーとして起用されるが、今WBCでは抑えに固定された牧田和久 20173月撮影)



現在発売中の「Sports Graphic Number924号(文藝春秋)では“7試合完全詳報”として1次ラウンド、2次ラウンド、準決勝を徹底分析しているが、これにアメリカ入りしてから行った練習試合2試合を加えた9試合を振り返ると、侍ジャパンの小久保裕紀監督の気の遣いよう、最近の言葉でいえば“忖度”が見えてくる。



小久保監督には侍ジャパンの世界一奪回とともに、各球団から預かった代表選手を無事に返却しなければならないことも課せられた。特に投手は、球数制限などで保護された面があるにせよ、各球団にとっては公式戦が始まったら主力投手だからだ。


例えば、拙blog328日付け高橋由伸監督お粗末!「(開幕投手は)うちは決まっていません」 ではジャイアンツの高橋由伸監督のヘタレぶりを指摘したが、高橋監督は侍ジャパンでもエース格の菅野智之を出来ればセ・リーグの開幕投手に起用しようとぎりぎりまで模索していたことがうかがえる。結局、菅野を含めWBCに参加した先発型の投手で開幕戦どころか開幕カードの三連戦に登板した投手は皆無。いずれも開幕二カード目の先発に回った。


2月の強化試合を含む、侍ジャパンの対外試合の投手の登板履歴を見てみよう。

 

 

○ 侍ジャパン、投手起用状況
※投手名、イニング数、カッコ内は投球数の順。

225日 対ソフトバンク 武田3(39)、●千賀2(31)、藤浪1(16)、平野1(15)、松井1(28)、秋吉1(11)
26
27

28
日 対台湾選抜 ●則本3(54)、牧田2(36)、増井1(26)、宮西1(16)、岡田1(18)、松井1(12)
31日 対台湾選抜 〇菅野4(58)、石川3(59)、藤浪1(8)、千賀1(13)
2
3
日 対阪神 ●武田2(53)、牧田2(21)、平野1(14)、増井1(11)、松井1(18)、岡田1/3(2)、秋吉2/3(12)
4
5
日 対オリックス 藤浪2(34)、平野1(12)、岡田11/3(19)、増井2/3(17)、松井1(12)、千賀12/3(22)、〇宮西1/3(11)、S秋吉1(14)
6日
7
日 1次ラウンド対キューバ 〇石川4(58)、則本2回2/3(44)、岡田1/3(4)、平野2/3(15)、秋吉1/3(5)、牧田1(19)
8日 対オーストラリア 菅野41/3(66)、岡田2/3(7)、〇千賀2(32)、宮西1(13)、S牧田1(18)
9
10
日 対中国 〇武田3(47)、藤浪2(30)、増井1(9)、松井1(14)、平野1(9)、秋吉1(12)
11
12
日 2次ラウンド対オランダ 石川3(49)、平野1(13)、千賀2(30)、松井2/3(17)、秋吉1/3(5)、宮西1/3(17)、増井2/3(8)、則本1(28)、〇牧田2(29)
13
14
日 対キューバ 菅野4(74)、平野1(9)、増井1(12)、松井1(10)、〇秋吉1(14)、S牧田1(12)
15日 対イスラエル 千賀5(63)、〇平野11/3(15)、宮西2/3(8)、秋吉1(11)、牧田1(36)
16

1
7

18

19
日 練習試合対カブス ●藤浪4(91)、増井1(23)、松井1(14)、宮西1(17)、則本1(14)
20日 練習試合対ドジャース 武田4(62)、岡田1(21)、秋吉1(15)、平野1(18)、牧田1(7)、●松井2/3(26)
21
22
日 準決勝対アメリカ 菅野6(81)、●千賀2(31)、平野1/3(3)、宮西0/3(2)、秋吉2/3(6)
23
24

25

26
日 オープン戦 岡田1(14)
27
28
日 ※ ファーム公式戦 石川4回(55) ○藤浪6回(89)
29
 ●武田6回(88)
30

31
日 公式戦開幕 秋吉1(18) 松井2(38) 平野1(13)
41日 牧田2/3(14) 宮西1(12) 増井1(13)
2日 岡田1(9)
3
4
日 〇菅野7(111) ●藤浪5(117) ●千賀4(77) 〇則本6(105) ●石川5(120)
5日 〇武田5(85)
公式戦は各日に登板した投手を羅列。継投の意味ではない。
※ ファーム公式戦に登板した投手を追記(4月10日23:00)。

敗戦処理。が注目するのは2次ラウンドと準決勝の間に行われた、アメリカでの練習試合の存在である。侍ジャパンは準決勝進出を決めてから準決勝まで中6日空いた。これはWBCの特別ルールである登板規制などの影響を受けず、かつ準決勝と決勝の先発投手を決めるのにもどの投手も登板間隔が充分という、侍ジャパンには有利な展開であった。だが、東京ドーム開催からアメリカに飛び、ドジャースタジアムでの準決勝、決勝の前に屋外球場で練習試合を組むのは試合勘を養うなど調整に好都合というだけでなく、もう一つの側面もあったと思う。


それは準決勝、決勝では極端に言えば全投手をつぎ込んででも勝ちにこだわるという反面、負けたら終わりなのだから、敗戦処理的な投手は不要になる。今大会で初めて採用された予備登録選手との入れ替えを(故障者が出ない限り)使わないと決めた侍ジャパンは、準決勝、決勝では勝負所では使えない投手であってもチームに帯同させ、帰国、所属球団復帰は大会終了後であることに変わらない。だからこの練習試合二試合では準決勝、決勝での先発を予定している投手以外はすべて登板させ、見極めの二試合になるのである。


もう一度カブス、ドジャースとの練習試合に登板した投手の顔ぶれを見ていただきたい。松井裕樹のみ二試合に連投しているが、登録された13投手のうち、10人が登板した。登板しなかったのは菅野と、千賀滉大、石川歩の三人だけ。1次ラウンド、2次ラウンドにともに先発した菅野と石川、2次ラウンドの最終戦にあたるイスラエル戦で先発に回って好投した千賀を準決勝と決勝で長いイニング投げさせようと考えていたことが推測できる。


逆に、準決勝以降は負けたら終わりである。使える選手は限られる。失礼ながら練習試合に先発した二投手は準決勝以降、戦力外という扱いだったと思われる。


1次ラウンドと2次ラウンドを6戦全勝で通過した侍ジャパンだったが、1次ラウンド、2次ラウンドともその先に進めるのは4チームのうち、2チーム。つまり必ずしも全勝でなくても次に進めるのだ。だから上手に負けるという考え方も必要で小久保監督、権藤博投手コーチら首脳陣には口には出さないもののその考え方もあったと思う。


特に、2次ラウンドでの2連勝後の対イスラエル戦は、最悪でも負けても翌日のプレーオフに勝てば準決勝に進出できる状況だった。極端に言えばイスラエル戦か翌日のプレーオフのどちらかに勝てば準決勝に進めたのだ。だが、イスラエル戦で30球以上投球した投手は翌日のプレーオフに登板できない。前日のキューバ戦に登板した投手をイスラエル戦に連投させたらプレーオフに登板できない。したがってイスラエル戦が劣勢の展開になったらプレーオフ用にリリーフ投手を温存するという発想も侍ジャパン首脳陣にはあったと思われる。そのための投手、イスラエル戦が劣勢になった場合の投手も必要になるのだ。


2次ラウンド・イスラエル戦】
イ 000 000 003 =3
侍 000 005 03× =8

侍)千賀5(63)、〇平野11/3(15)、宮西2/3(8)秋吉1(11)牧田1(36)


下線を引いた平野佳寿、秋吉亮、牧田和久は前日のキューバ戦に続く連投。0対0の同点だった六回表に登板した平野はプレーオフになったら登板できなくてもよい覚悟で起用したはずだろう。秋吉と牧田も同じ条件になるが、六回裏に5点を取った後なので、この試合を逃げ切ってプレーオフ無しで準決勝進出を決めることだけを考えての投入だろう。


この、唯一(だったかもしれない)負けても取り返しが可能な試合に劣勢の展開用の投手の登板機会がなくなった。準決勝以降には劣勢の展開用の投手の登板機会はまずない。でも、侍ジャパンとしての戦いが終わるまで彼らもチームの一員であることに変わりない。そんな彼らを、戦いが終わって各所属球団に戻すときに実戦の間隔が空きすぎるのは申し訳ないと小久保監督が忖度した結果が練習試合での登板だろう。


1次ラウンドのオーストラリア戦で制球の乱れを露呈した岡田俊哉はその試合を最後に1次ラウンド、2次ラウンドでも登板機会を与えられなかった。最も登板間隔が空いていた投手だ。もし練習試合に投げなかったら3月8日以降登板なしという状態でドラゴンズに戻らなければならなかった。国内のオープン戦に唯一登板したのが岡田だった事実が岡田の侍ジャパンでの立場を物語っているように思えた。


残念ながらこの岡田と、練習試合に先発した藤浪晋太郎武田修太の三投手が準決勝以降の実質的な戦力外扱いだったのだろう。この三投手は2次ラウンドに登板していない。リリーフの岡田は帰国後のオープン戦で調整登板を行ったうえで公式戦に臨んだが、藤浪と武田は所属球団での先発投手としての調整に苦労したことだろう。ともにファームの公式戦に先発し、公式戦初登板日までの間隔が空きすぎない様に調整した。決勝戦があったら先発していたかもしれない石川も公式戦初登板の前にファームで調整登板を行った。藤浪は4日の対スワローズ戦に初先発したが明らかに制球が定まらず、ウラディミール・バレンティンの大暴れ事件のきっかけを作ってしまった。もっとも藤浪は、カブスとの練習試合では4回を投げて自責点3だったが、それまでは2月からの強化試合等を含め、計6イニングを自責点0だったのだが。


もう一つ、小久保監督が起用法を忖度していたのかもと思える投手がいる。大会期間中、抑え投手として起用された牧田和久である。


牧田は1次ラウンド、2次ラウンドでの6連勝の試合のうち、5試合で最後のマウンドに立った。2次ラウンドの初戦、オランダ戦こそ九回裏に投げた則本が同点に追いつかれた後に十回裏からマウンドに上がってタイブレークの十一回裏まで投げるいわゆるイニングまたぎでの2イニング登板となったが、他はいずれも九回裏の頭から1イニングの登板だった(練習試合のドジャース戦で1点リードの八回裏に登板して憶測を呼んだが、他の投手を八回裏に投入して逆転されたら九回裏がなくなる可能性があるから九回でなく前倒しして登板したと考えるのが妥当)


2イニング投げた対オランダ戦では試合終了の時間が、日付が変わりそうな時間だったことからネットでは酷使ぶりがネタにされたが、田辺徳雄監督の下でセットアッパーに回っていた昨年はそれこそ酷使で、それを考えればWBCでは抑え役に固定されていた分、配慮があって酷使ではなかったと思える。


昨年の牧田はすべて救援での登板で50試合に登板した。50試合で782/3を投げた。一登板当たりの平均投球回数は1.57回。平均で11/3以上を投げていることになり、田辺監督がイニングまたぎを辞さない方針で起用していたことになる。昨年、両リーグで50試合以上に登板した投手は牧田を含め44人いたから、50試合登板というだけなら驚くことではないが、50試合以上に登板して牧田の782/3より多い投球回数を投げたのは50試合の中に6度の先発登板を含むカープのブレイディン・ヘーゲンズを別にすれば、ジャイアンツのスコット・マシソン80回だけだが、マシソンは70試合に登板している。リリーフ投手にイニングまたぎをさせることを避ける傾向にある近年のNPBでは牧田の起用法は例外中の例外なのだ。牧田はそれでいて防御率も1.60安定している。


事前には秋吉亮が抑え役に抜擢されるとの見方もあった。牧田も過去には抑えの経験があるが、現役の抑え役ではない。ましてやイニングまたぎも可能。起用に融通が利く、使い勝手の良い投手であるが、敢えて最後の1イニングを託すことにした。

 

牧田は辻発彦新監督の下、勝利の方程式の一角として増田達至、ブライアン・シュリッターの前の七回1イニングを任される構想の様だが、3月の春先からイニングまたぎでフル回転というわけにはいかないと小久保監督が忖度しての抑え固定だったと敗戦処理。は推測している。


もちろん、これらは敗戦処理。の妄想である。ひょっとしたら小久保監督の忖度ではなく、各所属球団から具体的な圧力があった可能性も否定できない。


また、実際にはWBCの本戦優先ではあったと思われるが、今回は先発投手を派遣しているチームにとっては悩ましい実態があった。大会の決勝戦から公式戦の開幕までの日程が微妙に短いのである。

 WBCの決勝戦とNPB開幕戦の日程・間隔
2006年 決勝戦321日 公式戦開幕パ同25日(中3日)、セ同31日(中9日)
2009
年 決勝戦324日 公式戦開幕43日 (中9日)
2013
年 決勝戦320日(準決勝敗退=同18日)公式戦開幕329日(中8日)
2017
年 決勝戦323日(準決勝敗退=同22日)公式戦開幕331日(中7日)


第一回の2006年の当時にはパ・リーグがセ・リーグに先駆けて公式戦を開幕していた時期であり、王貞治監督を含むパ・リーグに所属する選手らは決勝戦から中三日でという強行日程になってしまったが、第二回以降、一日ずつ間隔が詰まっているのである。NPBはWBC開催年であっても金曜日開幕の原則を崩さない。四年に一度とはいえ曜日の関係も考えて、WBC開催年だけでも土曜日開幕にするとかしないと、WBCにエースを派遣した球団と派遣していない球団との間で不公平が生じる。


特に今年の場合、開幕の時期には選抜高校野球に本拠地である甲子園球場を貸しているタイガースが代替えで開幕戦に使用する京セラドーム大阪をバファローズと重なったために使用できず開幕権を手放すという事態に至った。一週間開幕を遅らせれば開幕戦を甲子園球場で開催することが出来た。そうなると神宮球場を本拠地とするスワローズが東京六大学と重なるデメリットがあるが、開幕戦を行う金曜日はスワローズの単独開催だから(雨天中止にでもならない限り)大きな問題はない。



秋のクライマックスシリーズや日本シリーズの開催時期から逆算して考えると安直に公式戦開幕を遅らせられないという考え方なのかもしれないが、2020年には窮屈な日程を強いられるのである。一週間縮めるのもよい練習になるという発想で考えてほしかった。



今年でいえば菅野、則本、石川はWBCがなかったら開幕投手を任された可能性があるが、ジャイアンツとゴールデンイーグルスは代役で勝ち、マリーンズは敗れた。


代表監督による忖度や、逆に代表選手を送り出す側の不安感など考えなくて済むように東京五輪はもとよりこれからの国際大会と公式戦の折り合いを上手く付けることもこれからのNPBには求められよう。


 4月10日23:00一部加筆

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コメント

投手起用に関する舞台裏は権藤が日刊ゲンダイで詳細に渡り語っています。
こちらで見ることができるのでよかったらどうぞ。(既にご存知でしたらすみません。)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/2954

↑ということです。かなり自分を美化しています。興味のある方はどうぞ。

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