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2015年12月 2日 (水)

吉井理人発言「クローザーは流れがどっちに行くかわからない場面でのピッチングは慣れていない」

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先月
22日のTBSテレビ系「サンデーモーニング」に出演した前ホークス投手コーチ、吉井理人が同じく先月19日のプレミア12の準決勝での逆転負けに言及した発言が気になったので書いてみる。


いささか時期を逸した感もあるが、お付き合いいただけたら幸いである。


(写真:前回ファイターズ在籍時代の吉井理人<<左端>>。 20126月撮影)



今季はホークスのブルペン担当コーチとして圧倒的強さで優勝したチームを支えた吉井理人。来季、三軍担当に配置転換を命じられたのが不服だったのか、修士論文完成を優先させたいとかの理由で退団。このTBSテレビ系「サンデーモーニング」のスポーツ御意見番の助っ人として
1122日に出演した際は、いわばフリーの立場だった。ところが、驚いたことにファイターズに投手コーチとして四年ぶりに復帰することが決定。ま、その動向に関しては後述する。


プレミア12で侍ジャパンは3位、韓国代表が初代王者に輝いた翌日のこの日、話題は当然、三日前の19日、準決勝で侍ジャパンが韓国代表に逆転負けを喫したことに集中したのだが、吉井は侍ジャパンの投手陣の顔写真を並べたフリップを見てこう言った。


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「先発とクローザーしかメンバーいないんですよね。中継ぎの専門家がいない。中継ぎを選ぶとしたらランナーがいる場面できっちり抑えてくれる、今年だったらスワローズの久古とか、今年は調子悪かったのですけどファイターズの宮西とか、あとホークスの森。その辺が良かったのかなと。」「クローザーというのは勝利のお膳立てが出来たところで出ていくピッチャーなので、ああいう流れがどっちに行くかわからない場面でのピッチングは慣れていないんですね」



侍ジャパンに中継ぎ投手がいないのは、敗戦処理。の推測では、シーズン中、主にリードした試合の最終回1イニング限定で登板するクローザーとは異なり、同点でも、時には1、2点のビハインドでも躊躇なく起用され、おのずとクローザーを超える登板数になる中継ぎのスペシャリストがこの時期に余力をもう残していないからだろうという理由。吉井が名を挙げた久古健太郎にしろ、同じスワローズでリーグ最多登板の秋吉亮など、シーズン中はおろか、クライマックスシリーズ、日本シリーズと明らかに登板過多。仮に選出されたとしても、シーズン中の投球が出来たか疑問だ。


それより敗戦処理。が注目したのは後半の部分。


「クローザーというのは勝利のお膳立てが出来たところで出ていくピッチャーなので、ああいう流れがどっちに行くかわからない場面でのピッチングは慣れていないんですね」


何度か敗戦処理。も拙blogで自説を述べてきたが、絶対的守護神だった「大魔神」こと佐々木主浩の登場を境に、クローザーの役割が変わったのではないかと思う。


佐々木の起用法として、当時のベイスターズの権藤博監督が、佐々木に一年間コンスタントにその力を発揮してもらうには勝ち試合の
1イニング限定登板にするという起用法にしたのを境に各球団の抑え投手が、吉井流にいえばお膳立てが出来た状態でマウンドに上がるようになった。


わかりやすい例えを言えば、近年のジャイアンツ。試合終盤の七回や八回の最大のピンチにマウンドに上がるのは主に山口鉄也。山口が必死にピンチを抑え、抑えの澤村拓一マーク・クルーン、あるいは西村健太朗と置き換えても可)が最終回の頭からマウンドに上がる。確かに吉井の言う、お膳立てが出来た状態とは言い得て妙だと思う。


もちろん、試合に勝つために相手から奪う27のアウトのうち、最終回の3つのアウトを奪うのが最も難しいという考え方もある。上述の例でいえば、ジャイアンツの山口は抑えで使うとさほど盤石ではない。最後の3つのアウトを取る専門職にはそれはそれで難しさがあるのは言うまでもない。


吉井は現役時代、クローザーとしても先発ローテーション投手としても成功した投手だ。もっとも吉井の時代には抑え投手をクローザーと呼ぶ習慣は無かったが…。

吉井はあの「1019」が有名な1988(昭和63)に近鉄バファローズの抑え投手に抜擢され、50試合に登板して10224セーブ、防御率2.6934セーブポイントでパ・リーグの最優秀救援投手に輝いた。この年から三年連続で20セーブポイント以上を挙げたが、その後低迷。1993年から先発に転向。スワローズに移籍した1995年から先発ローテーション投手として3年連続二桁勝利を挙げ、FA権を取得してメジャーリーグに進んだ。FA移籍による大リーグ球団への移籍としては吉井が第一号だった。


吉井が近鉄バファローズで抑えを務めていた時期はいわば佐々木以前。


先発投手は完投を期待され、それが無理な時に、必要に応じて出てくるのがリリーフ投手であり、その最後を締めくくるのが抑え投手という時代だった。伝説の抑え投手、江夏豊や、その時代の抑え投手の、タイトルホルダーのセーブ数が近年のタイトルホルダーのセーブ数より少ないのは能力の差ではない。必要に迫られて出てくる抑え投手と、初めから勝利の方程式に組み込まれて計算に入っているというシステムの差にすぎない。吉井はそんな時代の抑え投手だった。


あの「
1019」や翌年のリーグ優勝の場面こそ投手心理に疎い仰木彬監督によって阿波野秀幸においしいところを持って行かれたが印象が強いが、そもそもそのような終盤の激しい優勝争いに加われるのはレギュラーシーズンで吉井が抑え投手としての役割を果たしていたからだ。


そんな時代の抑えを経験していた吉井から見れば、昨今の抑え投手、いやクローザーはお膳立てが出来たところで出ていくピッチャーということなのだろう。


もちろん、今日のクローザーでも、年に何回か、この試合は負けられないという局面で八回の途中、1点もやれない状況で前倒し登板することはある。ただ侍ジャパンに選ばれたクローザーに限っていえば、増井浩俊を除けばクローザー歴1年の投手。常々「三年やって一人前」という考えの敗戦処理。からすれば、増井以外はまだまだ半人前のクローザーだ。


実はこれは、侍ジャパンに選ばれたクローザーに限ったことではない。


今季の十二球団で、日本人選手がクローザーを勤めるチームで昨年と今季で同じ投手がクローザーを務めているのはファイターズの増井以外ではマリーンズの西野勇士くらい。他の球団は皆昨年と顔ぶれが変わっているのだ。その西野も9月下旬に左足甲の亀裂骨折でリタイヤ。小久保裕紀監督がクローザーを固定出来なかったことを、侍ジャパンが優勝を逃した主要因に挙げる人が少なくないようだが、経験が浅い投手ばかりで全幅の信頼を置くには至らなかったのか、各所属球団から起用法に制約を課されたからのどちらかだろう。


敗戦処理。は抑え投手こそ、三年やって一人前だと思っている。


最初のうちは、怖いもの知らずで、ピンチでも自分の力を信じ、凌いでいける。それが何回か失敗を経験することで、チームの勝ち星をフイにしたり、先輩である先発投手の勝ち星を奪ったりしてことの重大さに気付くと、もう怖いもの知らずでは投げられなくなる。そんな状態を乗り越えてこそ、真のクローザー。だから三年もやっていれば、良いことも悪いことも経験するだろうと思う。


名前を出して悪いが、ライオンズの高橋朋己が好例だろう。


入団二年目の昨年、クローザーに抜擢されて63試合で2129セーブ、防御率は2.01622/3を投げて80奪三振という驚異の奪三振ペースだった。ジャイアンツとの交流戦の時、テレビ局のリポーターの紹介で高橋朋は「僕は、僕がもしリリーフに失敗したら先発投手の勝ち星を台無しにしてしまうとかは一切考えない。ただ捕手のサイン通りの球を全力で投げ込むだけです」と言っていた。まさに怖いもの知らずの若者の台詞だ。それが今季の高橋朋がどうだったかを考えれば、クローザーの難しさもわかるだろう。


その意味では松井裕樹が気になる。侍ジャパンではイニングの頭から行っての2失点での逆転と、あの韓国戦での押し出し四球。これが松井裕にとって良い薬になればいいのだが、引きずらないで欲しい。長いオフに入るのが救いか


野球というものは歳月を経ることでセオリーも変わるもの。だが、クローザーがかつての佐々木以前のような起用法に戻ることは、まず無いと思う。既に兆候はあるが、クローザーよりも、クローザーのためにお膳立てするセットアッパーの方に高い評価が為される時代が来るかもしれない。ジャイアンツの山口は既にそういう起用法、立場になっていると言っても過言ではないと思う。


吉井の口から出たクローザーの現実からいろいろと思いを巡らせた。


そんな吉井だが、ファイターズの投手コーチに復帰するという。


吉井が2012年のシーズンを最後にファイターズを退団したのは、その年に就任した栗山英樹監督の継投や起用法にどうしても合点のいかない点があったからと言われている。あのときは吉井以外に、福良淳一ヘッドコーチが古巣のバファローズに呼び戻され、清水雅治外野守備走塁コーチがかつての同僚、伊東勤のマリーンズ監督就任に合わせて招かれた。優勝チームから、監督が代わる訳でもないのに一軍のコーチが三人も抜けるのは異例だろう。栗山監督がマスコミから賞賛される一方で、何か表に出ない問題があったことは想像に難くない。そしてそれ以降、ファイターズは好成績を残してはいるが、優勝から遠ざかっている。


今回、吉井のホークス退団の時点から、ファイターズの引き抜き行為があったのではとの疑念を持っているファンも少なくない様だ。あったとすればいわゆるタンバリングとも言われかねないが、それがあったにせよ、なかったにせよ、円満でない退団を二回経験している男だ。さすがにそろそろ人間的に丸くなってくる頃とも考えられるが、二度あることは三度あるとも言う。ファイターズファンとして吉井がいつまた辞めると言い出しても、驚かない覚悟はしておこうと思っている。


吉井のやっていることはコーチ版の中村紀洋だ<苦笑>

 

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