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2013年6月 6日 (木)

嬉しさも中くらいなり復活弾…小笠原道大が代打サヨナラ弾!

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5日に東京ドームで行われたジャイアンツ対ファイターズ戦で、ジャイアンツの小笠原道大が十一回裏に代打サヨナラ本塁打を放った。本来のフルスイングから放たれた打球の軌道はライトスタンドに一直線、フルスイングのフォロースルーも全盛期の小笠原のそれだった。小笠原自身、ヒーローインタビューでの第一声は「思い出しました」だった。

この一発を復活のきっかけにして欲しいところだが、冷静に考えると小笠原の置かれている境遇のシビアさが垣間見られた面も否定出来ない…。


(写真:代打サヨナラ本塁打を放ち、ナインに祝福される小笠原道大)

 

小笠原道大の出番は1対1の同点で迎えた延長十一回裏、坂本勇人阿部慎之助の短長打で無死二、三塁として途中出場の松本哲也の代打という形だった。村田真一打撃コーチが打席に向かおうとする松本哲を呼び止め、原辰徳監督が代打小笠原を告げた。一塁ベンチから小笠原が姿を現すと、ジャイアンツファンから大歓声が起きた。昨年、一昨年ととても小笠原とは思えない不成績でありながら、まだ小笠原に大歓声を送ってくれるジャイアンツファンは本当に暖かいと思うが、一塁が空いている場面で、ファイターズ側からすれば満塁策も視野に入れられるケース。それがなければ、原監督は代打に切り札の石井義人を送っていたことだろう。


――代打の場面では石井(義人)という選択肢もあったと思うが?

原監督「一の矢という中で、満塁策という作戦もなきにしもあらずだった。そういう部分において、残念ながらガッツ(小笠原)と石井の役割の高さという点では、まだ石井の方が上。したがって一の矢として小笠原を登用したということです」

スポーツナビより



そしてファイターズベンチは増井浩俊、鶴岡慎也のバッテリーに小笠原との勝負を命じた。外野フライでもサヨナラ負けという場面で、増井はストレート主体の攻めで小笠原から三振を奪いにいった。推測だがファイターズは小笠原を打ち取って、次のジョン・ボウカーを歩かせて一死満塁として右打者の村田修一、長野久義と勝負する算段だったのではないか。しかしフルカウントからの8球目を小笠原のフルスイングが捉えた。
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本当に会心の一打だった。フルスイング、フォロースルー、その後の立ち姿。どれを取っても全盛期の小笠原そのままに見えた。
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増井のストレートに打ち負けなかったのも健在ぶりを示した。


だが、冷静に振り返ればあの場面で石井を温存して小笠原が起用されたこと自体が今の小笠原の信頼感を如実に表していると言えるし、なおかつファイターズから勝負されたことが今の小笠原に対する相手チームの警戒度を如実に表していると言えよう。サヨナラ本塁打という最高の結果が出たから良かったものの、もしもあそこで増井のストレートに振り遅れて三振という結果にでもなっていたら、再度の二軍落ちの危機も現実味を帯びていたかもしれない。そういう意味では小笠原の一発は嬉しくて嬉しくてたまらないのだが、額面通りに素直に喜べない、嬉しさも中くらいなりという感じなのである…。

小笠原にとってはこの一打をきっかけにもっともっと存在感を示して欲しいところだ。6日の同じカードでは木佐貫洋から三振に仕留められたが、これからも代打、残りのパ主催の交流戦ではDHとして存在感を示して欲しい。


一方のファイターズだが、ビジターで、守護神の武田久を欠く状況を考えると、吉川光夫で1対0で逃げ切るしかない感じだったが、八回に亀井善行のタイムリーで同点に追いつかれた。
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この失点は亀井の殊勲打であることは間違いないが、立岡宗一郎の足で奪った1点という印象を受けた。二死から安打で出た中井大介の代走として起用され、すかさず二盗成功。
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亀井の安打もセンターの陽岱鋼の前に飛んだので陽岱鋼のレーザービームの餌食になるかと思ったが、立岡の足が上回った。


同点になるとビジターのファイターズは苦しい。拙blog3月31日付3時間30分ルール撤廃でやはりビジターは投手のつぎ込み順が難しい。でも触れたが、ホームチームに比べて継投が苦しい。九回表に吉川に代打、マイカ・ホフパワーを送って投手交代。1対1の同点のままだったので武田久の代役クローザー、増井をつぎ込むわけには行かず、左打者の阿部から始まる打順にサウスポーの宮西尚生をつぎ込んだ。宮西は阿部、松本哲を打ち取って二死まで漕ぎつけたが、ボウカー、村田に連打を浴びて二死一、三塁のピンチを招いた。

二死一、三塁で打席には八番に下がっているとはいえ長野久義。次は投手の西村健太朗だ。ここは長野との勝負を避け、西村に出る代打との勝負になると思った。この時点でジャイアンツベンチに残っている右打ちの野手は實松一成、寺内崇幸、鈴木尚広しかいない。左打者なら石井、小笠原。しかしファイターズベンチは投手を宮西から右投手の矢貫俊之に代えて長野との勝負を選択。満塁にしたときの暴投などのリスクを考えたかなとも思えるが、確率的には長野との勝負が最も打たれる確率が高い気がした。結果は長野をセンターフライに打ち取り、継投策がはまった形になった。

延長戦突入。ファイターズからすれば、勝ち越してその裏に増井投入が理想的な展開だが、同点のまま3イニング戦うことも考えねばならない。矢貫、鍵谷陽平、石井裕也で何とか凌がねばならない。

一番から始まる十回表の好打順でチャンスを逃して無得点になると、栗山英樹監督はベンチを出て矢貫から石井へのスイッチを球審に告げた。ジャイアンツの十回裏は西村から始まるのだから代打が出るのはほぼ確実。矢貫をマウンドに上げてジャイアンツに左の代打を起用させてそこからサウスポーの石井を起用するという手も考えられるはずだが、先に石井を投入したため、ジャイアンツは無駄なく代打、矢野謙次を起用した。幸いにも石井が久々に石井らしいキレのある投球をし、ジャイアンツ打線を三者凡退に仕留めたが、相手の嫌がる野球をやるという点で矢貫をマウンドに上げて欲しかった。おそらく、原監督は矢貫がマウンドに上がったら、石井ではなく小笠原を代打に起用していただろう。


公認野球規則3.05(d)
すでに試合に出場している投手がイニングの初めにファウルラインを越えてしまえば、その投手は、第1打者がアウトになるかあるいは一塁に達するまで、投球する義務がある。ただし、その打者に代打者が出た場合、またはその投手が負傷または病気のために、投球が不可能になったと球審が認めた場合を除く。


今年からルール改正で、チェンジの時にファウルラインを越えてマウンドに上がった投手は先頭打者との対戦を終えないと交代出来ないとなったが、相手に代打が起用されたときは例外だ。ここで小笠原を出させて引っ込めさせておけば、サヨナラ被弾もなかったのだ。

ファイターズは十一回表に山口鉄也の前に三者凡退に抑えられると、同点のまま十一回裏に増井を送った。武田久が健在なら十一回増井、十二回武田久という起用も考えられるが武田久はいない。増井を2イニング投げさせるつもりだったのか…その割には増井をそのまま石井の打順に入れたので十二回表の二人目の打者となる。2イニング投げさせるなら打席が回る九番に金子誠を入れて二塁を守らせ、今浪隆博をショートに回し、十一回表の最後の打者となった大引啓次を退けて増井を入れるのが普通だと思う(それをしなかったということはクリーンアップとの対戦となるこの回を増井で抑え、最終回に鍵谷をつぎ込む算段だったのだろう)。

ジャイアンツは、結果論だが六回裏に既に100球を超えていた先発の澤村拓一をそのまま打席に立たせ、七回表まで投げさせた事で延長戦でも手詰まりにならないで済んだと思う。吉川のノーヒット投球が継続されており、代打を送って反撃ということも考えられる場面だったが…。この辺もホームチームとビジターチームの精神的ゆとりの差だったかもしれない。

ファイターズは交流戦での成績こそジャイアンツをわずかに上回っているが、セ・リーグの首位チームに向かっていくという姿勢であるならば、ベンチワークでもっと揺さぶるべきでなかったのか。結果としては小笠原と勝負して負けたのだが、敗戦処理。的には九回裏の長野との勝負の時点で選択ミスなのだ。諺の通り、二匹目のドジョウはいないのだ。そして6日の八回裏も…。

野球に…れば、…たらは禁物だが、増井が十一回を抑え、十二回にライトの大谷翔平がリリーフに上がれば、正真正銘の“二刀流”だった。非現実的だがそれも見たかった<笑>。

 

そして、小笠原。ジャイアンツファンは生え抜きの選手にはともかく移籍組にはシビアだという意見もあるが、今日の登場時の東京ドームの大歓声には敗戦処理。も痺れた。

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そしてファイターズファンの中にもFA権行使という、自らの都合で出ていった小笠原に対する反応は真っ二つだが、静かに拍手を贈ったファンが少なくないのも事実のようだ。いつの間にか“常勝チーム”とまで呼ばれるようになってしまったファイターズだが、東京ドーム時代の終盤から移転後の初優勝まで、背中でチームを引っ張ったのは小笠原だ。そしてジャイアンツでもFA移籍組には異例の、移籍初年度のMVPと四年連続三割、30本塁打の暴れっぷり。そしてそれらを超越してファンを感銘させる野球に取り組む姿勢。暖かいファンに恵まれる小笠原は幸せ者だ。これからは小笠原がファンの期待に応えて還元する番だ!

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