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2012年6月 1日 (金)

ジャイアンツの契約金標準額超過の問題は流出経路判明で幕引きなのか?

Dsc_1227朝日新聞が3月に報じた、ジャイアンツの契約金標準額超過問題に関し、ジャイアンツ球団は先月26日、その際に内部資料を流出させたのは前球団代表の清武英利氏である可能性が最も高いとの結論に至ったと発表した。

27日の各スポーツ紙の報道は、上記のジャイアンツの発表を淡々と書いているにとどめた感じだったが、誰が内部資料を流出させたのかはジャイアンツにとっては問題だろうが、球界で標準と決めたことを破ったことの是非の方が問題ではないのか?

 


全くおかしな話である。ジャイアンツが新人選手獲得に当たり、何人かの選手に対し、契約金を標準額を超えて払っていたという内部資料が流出したということは、その事実があるということをジャイアンツが認めたも同然で、そのこと自体がまず問題視されるべきだろう。ジャイアンツ球団は「あくまで標準であってルール上の上限ではない」という立場で一貫しているが、各マスコミはその通りと認めていて言及しないのだろうか?ジャイアンツ球団はライオンズの一件があってからは標準額の超過もないとしているが、だからといってその主張にいささかの反対論調の報道が出ないのは不思議としか言い様がない。今さら騒ぐ問題でないというスタンスならば、ジャイアンツ球団による犯人捜しも相手にする必要は無かろう。


思い出されるのは大相撲における八百長相撲発覚の件である。

元々一部力士による野球賭博への関与を調べる捜査の過程において入手した携帯電話のメールの中に、力士同士の取組内容の打ち合わせ、即ち八百長の存在を疑うに充分なものがあり、これを捜査機関がリークしたことから八百長の実態が明らかになったのだが、この時、ついに八百長相撲の存在を客観的に証明するものの存在が公になったという衝撃の一方で、流出経路の問題もクローズアップされた。捜査機関が捜査上知り得た秘密に関して、当該捜査に直接関係ないことを第三者に明かすのは御法度だからである。

私なんぞは単純だから、「ついに八百長相撲の動かぬ証拠が公になったか!」と小躍りしたものだ。それが違法な状況でリークされたのだとしても、そのことよりも八百長の実態が明らかになることの方が重要だと思ったものだ。そして一部の真っ当な正論よりも八百長発覚の事実のことの方が衝撃的で日本相撲協会は本場所の中止や該当力士への解雇を含む厳罰に至るなど、角界に大きな衝撃が走った。

この流れを覚えているから、朝日新聞の報道があった時、ジャイアンツ球団が「あくまで標準であってルール上の上限ではない」と開き直るところまでは予想出来たが、流出の犯人捜しに躍起になり、そしてその経過をマスコミがご丁寧に報じるとは思わなかった。

ジャイアンツ球団は、独断で記者会見を開き球団のトップである渡邊恒雄会長を批判した清武英利氏を解任し、そこから清武氏と係争中だ。流出経路として真っ先に清武氏を疑うのもジャイアンツの立場としては当然だろう。

だが、大相撲の八百長問題の動かぬ証拠の流出経路を不問として八百長をした力士の処分を優先するという前例をマスコミは是としたのなら、ジャイアンツの契約金標準額超過問題に関しても、ジャイアンツが調査委員会まで設置して犯人捜しに躍起になろうと、問題の本質とは関係のない話だとして無視すべきだろう。論点のすげ替えでジャイアンツ側の思うつぼだ。

なお、ジャイアンツ球団が流出した資料の占有移転禁止の仮処分を申し立てた相手のワック株式会社とは清武氏の著書「巨魁」を発行した出版社だ。「巨魁」には契約金の標準額超過問題に関しては書かれていない(清武氏は朝日新聞の報道には関与していないと主張しているのだから、書いているはずはない)。この問題を報じたのはあくまで朝日新聞だ。ジャイアンツによると、清武氏が退団する前に内部資料を詰めた多数の段ボールの送り先がワック株式会社だから、内部資料はまず清武氏がワック株式会社に送達し、そこから朝日新聞に渡ったという解釈の様だ。


個人的にはジャイアンツ球団が「巨魁」に書かれている内容に対し、何故名誉毀損などの訴えを起こさないのかの方が疑問である。同書には著者である清武氏が、代表職の当時に記者会見を開いてまで糾弾しようとした渡邊会長への批判だけでなく、原辰徳監督に関しても目を疑う記述がある。書いてあることが事実なら、原監督はとんでもない奇人変人だ。原監督は身内であった前球団代表にあんなことを書かれて何の対抗措置も取らないのか?

あまり書くとネタバレになってしまうが、例えばジャイアンツが一昨年のドラフト会議で中央大学の澤村拓一の単独での1位指名に成功したのは、いわゆる囲い込みの成果だと思っているファンは少なくないだろう。同書で清武氏は囲い込みに関してもちろん言及していないが、ドラフト会議が近づいたスカウト会議で澤村の1位入札を確認しようとした席で、原監督が突然早稲田大学の大石達也の方が良いと言って会議の席を混乱させたとか、昨年のドラフト会議の前には他の球団が菅野智之を指名する様なことがあったら会場から出て行くなどと発言したなど、とても常人とは思えない言動が事実かのように書かれている。

“あの事件”が起きる前から原監督と清武球団代表の不仲ぶりは一部で報じられていたが、それを充分に裏付ける。渡邉会長に関しては老害ぶりを強調しているが、原監督に関する描写もかなり極端だ。



天下の朝日新聞と比べて読む人の数が少ないから相手にしないのかもしれないが、これだけ話題になった本である。発売当時、いくつかのメディアが本文の一部を取り上げた。
Dsc_0817また、ジャイアンツの本拠地、東京ドームがそびえる東京ドームシティの新しい書店、オークスブックセンターにも「巨魁」は並んでいる。



日本プロ野球界の選手契約にまつわる裏金の存在に関する噂は昔から絶えない。昔のことだからと、かなり黒と決めつけた様な証言がなされることもある。それは大相撲での八百長疑惑にも似ている。週刊ポストを始めとする週刊誌は三十年以上も前から八百長疑惑の特集を組んでいたし、大関互助会などという揶揄もその頃から盛んにいわれていた。また、大相撲で疑惑の相撲を無気力相撲と言い換えて、ファンに疑われる取口の撲滅を図っている様に思われるのと同様に、プロ野球で有望なアマチュア選手に渡す裏金も栄養費と言い換えられる。ビーンボールも証拠がないからビーンボールと決めつけられず、さりとて放置できないから危険球と呼んで投手に退場処分を科すなどの措置を講じる。本当に存在しないのか、存在するけど公に認めるわけにはいかないから別の表現にしてそれを取り締まる形だけは一応作る。契約金の上限を決めると独占禁止法に抵触するから標準と言っているわけで、規則では規制できないけど超えてはいけないんだよ、というのが最高標準額なのではないか?

また、大相撲の八百長疑惑が疑惑でなく事実となった時に、当時の放駒輝門理事長が一方的に「過去には一切なかった」と発言すると、それが免罪符になったかの様に今まさにメールによって発覚したもの、そしてそれから派生した八百長相撲のみが処分の対象であるかのように恣意的に対象範囲を狭められたことも、プロ野球で西武ライオンズの裏金が長年にわたり常套化していた痕跡があったにもかかわらず、ある時期で線引きされて過去は不問の様に扱われたのと酷似している様に思える。この時に過去を不問にしたことが、契約金の標準額超過問題でジャイアンツ球団を強気にさせているのだが…。

そしてさらに酷似しているのが、もっと以前に告発出来てもおかしくない大手メディアが黙りを決め込んだこと。彼らは八百長相撲や契約金の裏金など存在しないと思っていたのか?

ジャイアンツの契約金標準額超過問題は朝日新聞が報じたにも関わらず、系列のテレビ朝日は看板報道番組、「報道ステーション」で全くこの問題を報じていない。

疑惑と言っても不確かなままで取材に行ったり報じたりすると日常の取材に支障が出るとはよく言われるが、これは、同じくドラフトにかかる時に物議を醸した工藤公康の存在があるから扱いづらいのではという穿った見方をする向きもある。



ライオンズ球団などで球団代表を務めた坂井保之氏の深層「空白の一日」(ベースボール・マガジン社新書)によると、名古屋電気高校の工藤がドラフトの目玉選手の一人として注目を浴びていた時に工藤の父親の名前で各球団に、熊谷組への入社が内定したのでドラフトで指名しないで欲しいという配達証明付きの速達が送られたという。著者の坂井氏は熊谷組への入社内定の事実がないことを見抜き、ドラフト会議での下位指名強行したことを自身の手柄の様に書いている。指名後にも「ある球団」からの横槍らしき動きがあったものの獲得に成功した云々と書いているが、当時の世間一般の見方には工藤とライオンズによる他球団からの囲い込みというものもあったほどだ。そもそも「ある球団」が工藤を他球団に指名されたくないから父親の名前のお手紙を出したというなら、その球団が6位まで工藤獲得に走らないのが不自然だ。坂井氏は仮想“工藤を囲い込みしようとする球団”の存在を同書でにおわせてはいるが構成に無理がある。もちろん真相はなお定かではないが、当時は疑惑を向けられたものだ。


プロ野球でも大相撲でも長年の疑惑が疑惑でなく事実だと判明した。角界の方は本場所の中止などの深刻な決断をせざるを得なくなった。プロ野球はどうなのだろうか?異常な契約体系の件が過去のことだからと不問にされて、その流出経路、犯人捜しばかりを報道する事が本当に野球界の未来のためになるのか?マスコミもしがらみに惑わされず、ファンも自分の贔屓球団だからと言って見て見ぬ振りをするのでなく、流出の犯人捜しより大事なことに眼を向けよう。

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