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2012年4月 3日 (火)

ジャイアンツはなぜ菅野1位指名を表明しないのか?

Cdsc_00503月31日を以てファイターズは昨秋のドラフト会議で交渉権を得た東海大学の菅野智之との交渉権を失った。菅野は東海大学に籍を残すこととなり、今秋のドラフト会議の対象者となる。、菅野がファイターズの1位指名を蹴ってまでこだわる伯父、原辰徳が監督を務めるジャイアンツが再びドラフト1位で指名することが予想される。

ジャイアンツは三年前、やはりジャイアンツ志望でファイターズ、マリーンズのドラフト指名を拒否していた長野久義(当時ホンダ)に対し、マリーンズの交渉期限終了の翌日にその年のドラフト会議で1位指名することを表明した。さかのぼれば、ジャイアンツ志望でホークスの1位指名を拒否して浪人していた元木大介に対してもホークスの交渉期限終了の翌日に当時の正力亨オーナーがドラフト会議での1位指名を明言した。

ところが、今回ジャイアンツはファイターズの菅野との交渉期限が切れた翌日の4月1日、高らかに指名宣言をすると思いきや、「今月中にスカウト会議を開いて…」と慎重な姿勢を示したのみだった。菅野家としては「おいおいそれはないだろう…」という感じでは無いか?

(写真:ファイターズとの交渉期限が過ぎ、今秋のドラフト会議の対象となった東海大学の菅野智之。2011年4月撮影)

菅野智之はどうしても伯父の原辰徳が率いるジャイアンツでプレーしたい。だから交渉権を得たファイターズを断固として拒否した。ジャイアンツも当然菅野を獲得したいから昨秋のドラフト会議で1位指名したのだろうし、今秋のドラフト会議で再び対象となるということであれば、相思相愛ぶりをアピールし、競合他球団への牽制球の意味を兼ねて、長野久義の時と同様に、原沢敦球団代表兼GMあたりが、ドラフト1位指名を表明しても不思議でないと思うが、それをしなかった。

何故だろうか?

ジャイアンツが即戦力となる投手を今秋のドラフト会議で求めるとするならば、菅野以外に亜細亜大学の右腕投手、東浜巨がいる。
Dsc_0026名前が「巨」だけに巨人ファン、巨人志望と一部では早くも噂されているが、本人は今のところ「プロでやりたい」とは言ったらしいが特定の球団で投げたい旨を一切明かしていないそうだ。もっとも名前を分析すれば、東浜巨は東京ヤクルトスワローズの“東”、横浜DeNAベイスターズの“浜”、読売巨人軍の“巨”と在京のセ・リーグ三球団に縁がある。近年、ドラフト会議の目玉となる投手がドラフト会議の結果でパ・リーグに集中してしまっている感があるので東浜には在京でなくてもセ・リーグに来て欲しいものだが、ジャイアンツが東浜指名に揺れているのではないかというという考え。

あるいは東浜と菅野の両獲りを狙っていて、1位指名の入札で確実に名が挙がる東浜に関してはジャイアンツも1位で指名し、菅野に関してはファイターズに対しほとんど門前払いに近い対応をしたことで今秋のドラフトで他球団には諦めさせたという考えで2位で指名できるという考え。

他に考えられるのは菅野がジャイアンツ入りを熱望している理由である、伯父、原辰徳監督の去就問題。通説では原監督はジャイアンツと少なくとも今季と来季の二年間は契約を結んでいると言われているが、清武英利前球団代表のあの記者会見の直後に、桃井恒和球団社長が宮崎で秋季キャンプを張る原監督を訪ねた際に「ただし、来シーズン優勝を逃した場合には…」的なことを話したことが発覚して問題になった経緯から考えると、来季も監督の座が安泰とは言い切れず、原監督の甥であっても(逆に言えば甥であるばかりに)1位指名を決定しきれないと躊躇しているとも考えられる。

かつて長嶋茂雄に憧れてジャイアンツ志望を強くしていた東海大学の原辰徳は長嶋を解任したジャイアンツの1位指名に喜んで入団したが、単なる憧れと血縁関係は次元が異なるだろう。

もうひとつ、実はジャイアンツが本当は菅野を高く評価していないという可能性。

昨秋のドラフト会議、単独指名確実と見られていたが、ファイターズが強行指名。ファイターズとジャイアンツの間での抽選となったが、ジャイアンツで抽選に参加したのは原監督ではなく当時の清武代表。その前の年の斎藤佑樹や過去の中田翔の時の抽選を、時の監督ではなく藤井純一球団社長が引いたファイターズはどちらかというと例外で、ほとんどの球団はドラフトの抽選には監督が参加する。清武代表が原監督を差しおいて抽選に参加したのは、身内である原監督が抽選を外すという最悪の事態を回避する意向もあっただろうが、清武代表自身が菅野の交渉権を得たかったからではないか。

「清武の乱」で明らかになったが、原監督と清武代表の間に信頼関係は当の昔になくなっていたという。フロント主導のチーム作りを邁進したい清武代表としては原監督を球団編成という点では自分の配下に置きたく、そのためには原監督の身内である菅野を囲い込んで他球団の指名を回避させ、ジャイアンツに入団させる必要がある。つまり原監督に貸しを作りたいのだ。
Dsc_0067編成本部としては菅野にこだわらず、例えば東洋大学の藤岡貴裕(現.マリーンズ)や明治大学の野村祐輔(現.カープ)でもよかったのだが、敢えて菅野にこだわることで貸しを作りたいと考えていただけだった。清武代表が去った後、ジャイアンツのスカウト部の資料には菅野を高く評価するものは実はなかった…。なんてことは無いだろうか?

また、菅野がいかに逸材であろうと、少なくともこの一年間は東海大学に籍を残すとは言え実質的に浪人同様で、今秋のドラフトの時に他の有力な即戦力候補に見向きをせずに取りに行くレベルなのかという疑問があってもおかしくない。上述の長野は日本大学時代にファイターズにドラフト指名された際は社会人のホンダに進んだし、マリーンズの指名を受けた際にはホンダに残留と、常に所属先があり、腕が落ちる心配はなかったが菅野は浪人に近い状態。かつての元木大介は明らかに一年間のブランクがマイナスになっていたし、江川卓でさえ怪物と言われたその片鱗を見せたのは入団二年目からだった。菅野自身の価値が下がっているという見方があっても不思議ではない。

ただし、そうは言ってもジャイアンツ以外の球団が菅野を今秋のドラフト指名候補として見ていないかというと、そうとはいえない。

タイガースは菅野が東海大学時代にバッテリーを組んでいた捕手の伏見寅威とともにW指名を検討しているという。
Dsc_0036「ジャイアンツ何するものぞ」という猛虎魂に加え、名前に“寅”の字が付く逸材の捕手。たしかにジャイアンツに東浜“巨”が入団し、タイガースに伏見“寅”威が入団すれば、新たなライバル対決も期待出来る。

ここでここまで当エントリーにお付き合いいただいた方の中には「巨人はともかく、日本ハムの失敗を目の当たりにした他球団は菅野を指名しないのではないか」と思う方も少なくないだろう。あれだけジャイアンツを熱望しているのだから長野を指名したマリーンズと同じ結果になるだけだと。

だが菅野の場合、ファイターズの指名を拒否しても社会人に進むのではなく、東海大学を卒業せず籍を残す、という形を取った。もちろん野球部員としてリーグ戦などに出場出来るものでないから実質的に浪人なのだが、この道を選んだことにより、菅野は今秋のドラフト会議の対象となり得る。社会人野球のチームに入団していれば、ドラフトの対象となるのは来秋で一年遠回りする。その心理を逆手に取れば、今秋のドラフトで交渉権を得れば、菅野が観念してジャイアンツ以外の球団でも交渉に応じる可能性はあると考えれば、ジャイアンツ以外の球団も菅野を指名してもおかしくはない。

そして、ここに来てまさかと思われる球団が今秋のドラフト会議で菅野を指名する可能性が浮上してきた。

スポニチアネックスによると、菅野に入団拒否されたファイターズが再び今秋のドラフト会議で菅野を指名するかもしれないというのだ。

ドラフトで指名を拒否された選手を再指名することは、本人の許可を得た(例えば心変わりしたなど)場合などを除けば再指名は出来ない。妨害行為を防ぐためだろう。ただし、例外的措置がある。

新人選手選択会議規約

第12条(再選択)
選択した選手との選手契約締結交渉権を喪失した球団は、次の場合を除き再び当該選手を選択することができない。
1 進学その他の事由によりその選手が再び就学した場合。

なぜこんな規約があるか不思議だが、今回の菅野のように大学に籍を残している場合は浪人した元木のケースとは異なり、ファイターズは菅野を指名する事は出来るというのだ。そして 日本ハム期限切れで菅野獲得断念も再指名ありうる? (スポニチアネックス4月1日) によるとファイターズも「卒業して浪人なら無理ですが、留年して大学へ通うということなら就学。そうなればリストに入ってきます」とのことだ。ファイターズは球団公式サイトでも3月31日の交渉期限終了の際にこの解釈を記載している。

さすがに一度断られた相手に再トライはしないだろう。二年連続で同じ人物に逃げられるリスクを考えればそれはないだろうと思う。FA補強などに関心を示さず、育成重視の球団にとって二年連続でドラフト1位に逃げられるのは致命的だろうから。

ただしジャイアンツと相思相愛間違いなしの菅野を強行指名した精神は侮れない。Number webの、アマチュア選手のウオッチャーとして定評のある小関順二氏のコラムによると、あのドラフト当日、会場で小関氏がファイターズ関係者に誰を指名するか質問したところ、「プロ野球としてあるべき指名をします。」 と二度繰り返されたという。それほどの信念を持って指名した球団だから何を考えているかわからない。何しろ、今話題の「みんなのあるあるプロ野球」(カネシゲタカシ/野球大喜利・講談社刊)によると、ファイターズは「一年で最大の見せ場はドラフト会議」だから<笑>。

ただ日本野球機構の伊藤修久法規部長はこの新人選択会議規約第12条の解釈については「解釈について確定的なことは言える状況にない」としている。

ジャイアンツは朝日新聞が報じた、過去の新人選手の契約金が標準最高額を超えた問題に関し、当時においてはルール違反ではないというスタンスを貫いている。ただそうはいってもさすがにこの時期に今秋のドラフト指名を明言するのは、いらぬ邪推を生むだけと考えて表明を見送っているだけかもしれない。

ジャイアンツがそんなやわな球団とは思えないが、長野や澤村拓一の一本釣りに成功したジャイアンツが成り行き任せで今秋のドラフトを迎えるとは思えない…。

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