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2007年12月22日 (土)

ジャイアンツ清武英利球団代表-「日本の選手の年俸体系を崩す」とは笑止!!

「日本の選手の年俸体系を崩す」-これはジャイアンツの清武英利球団代表が獲得に名乗りを上げていた、FA宣言を行使したドラゴンズの福留孝介の獲得を断念した時のセリフである。福留のFA宣言に対し、獲得に名乗りを上げたのはMLBの球団と日本のジャイアンツとタイガースだった。当初、清武代表は「あれほどの選手を大リーグに持って行かれたら日本球界の損失」とばかりに、あたかも日本球界の明日のために、ジャイアンツが日本球界のために福留獲得に名乗りを挙げたかのような声明を発していたが、日本国内においてはマネーゲームに持ち込めば向かうところ敵なしのジャイアンツといえどもMLBチームを巻き込んだ争いになったら勝ち目がないのは自明の理だと思えたが清武代表は正義感に燃えて<苦笑>名乗りを挙げたようだ。

しかし、白旗を揚げざるを得ない状況に清武代表が吐いたのが冒頭のセリフである。MLB球団に張り合う条件提示をしたら、福留を獲得できても他の日本人選手との格差が出来て「日本の選手の年俸体系を崩す」という趣旨らしい。

笑止千万。

今まで「日本の選手の年俸体系を崩す」ことをしていなかったとでもいうのか?

福留が日本球界を去って大リーグの一員になることは、昨今のスター選手流出の流れからすれば、「福留よ、お前もか…」という感じで苦い思いのファンも少なくあるまい。ましてや来年は五輪イヤー。日本代表の有力候補が一人消えることも意味する。大リーグ志向が高いと推測されていた福留の動向に対し、敢然と立ち上がったジャイアンツの獲得宣言はたしかに日本球界を救う起死回生の策だったかもしれないが清武代表の発言をそのまま鵜呑みにするファンは少ないだろう。大方のファンが邪推する清武代表の本音は「(阪神)タイガースに奪われたらエライこっちゃ!?であろう<苦笑>。敗戦処理。も同様だ。

福留のシカゴ・カブス入団が決まり、ジャイアンツとしては福留を獲得できなかった残念さと同じくらい、タイガースに行かれなければ御の字という思いだったのではないか。

それを裏付けるのが、このオフのジャイアンツの補強が同一リーグの外国人選手が所属球団と契約でもめて自由契約になったのを見計らっての獲得ばかりであるという事実。マーク・クルーンとセス・グライシンガーを既に獲得済みで、アレックス・ラミレスの入団発表も時間の問題だ。ライバルチームの戦力低下と、自軍の戦力補強の一挙両得、一石二鳥。しかも外国人選手だけに、北京五輪の時期に選ばれて戦力ダウンになる心配もない。すべて計算し尽くされたかのような補強をしておいて、福留獲得失敗は実は痛くも痒くもないのが見え見えだ。

ただ拳を振り上げて正論をかざした手前、落としどころが欲しかっただけの捨てぜりふに過ぎない。

そしてもう一度、

「日本の選手の年俸体系を崩す」

このくだりである。

このオフの外国人選手獲得のやりかたが、ある意味年俸体系を崩しているのに他ならないのではないかという気持ちが第一だが、既にジャイアンツ内部においても選手の年俸体系を崩す行為が敗戦処理。に言わせればとっくの昔になされていたからである。

1996年ジャイアンツ推定年俸TOP10

落合博満3億8000万円

斎藤雅樹2億7000万円

槙原寛己1億7200万円

広沢克1億6500万円

川相昌弘1億3000万円

桑田真澄1億2000万円

川口和久9000万円

村田真一8800万円

松井秀喜8000万円

岡崎郁7500万円

二年前にFAで移籍してきた落合博満の年俸がトップなのは三冠王3回などの実績で元々当時の日本人選手ナンバーワンの年俸だったのだから当然として、当時投手力主体のチーム事情を反映するかのように主力投手が上位に並び、他球団で実績のある移籍組と野手のベテランが混在するというそれなりにバランスの取れたランキングと観ることが出来る。ところがこのシーズン終了後、「日本の選手の年俸体系を崩す」出来事が起きるのである。

清原和博の入団である。

この年にライオンズでの推定年俸が2億3000万円だった清原がFA宣言。三年契約を終えた落合に年齢的な衰えが顕著になり始め、松井秀喜もこの年初めてセ・リーグの本塁打王を争うほどに順調に成長してはいるものの、まだまだ一枚看板とは言い難い状況。落合に取って代わる「主砲」の欲しいジャイアンツにとって清原のFA宣言は渡りに船だった。

しかし相思相愛(と、勝手にジャイアンツが思っているだけだったかもしれないが)だったはずの清原の前にジャイアンツの宿敵タイガースが「伝統ある縦縞のユニフォームを横縞に変えてもいいから来て欲しい」と名乗りを挙げたためジャイアンツは条件を吊り上げざるを得なくなった。

結果、1997年のジャイアンツの日本人選手の推定年俸TOP10は下記のようになった。

1997年ジャイアンツ推定年俸TOP10

清原和博3億6000万円

斎藤雅樹3億3000万円

松井秀喜1億6000万円

槙原寛己1億6000万円

広沢克1億3200万円

川相昌弘1億2600万円

川口和久9100万円

石井浩郎9000万円

村田真一8800万円

河野博文7800万円

この当時は近年のようにFA宣言した選手の翌年の年俸は据え置きという縛りがなかったため、FA宣言した選手の獲得競争が熾烈になれば翌年の年俸に反映される形になっていたが、生え抜き日本人選手ナンバーワンの斎藤雅樹を上回る額を呈示せざるを得なかったようだ。そしてこれこそが「日本の選手の年俸体系を崩す」ジャイアンツでの前例に他ならない。当時の敗戦処理。のいやな予感はその後的中した。斎藤雅にしても、自分より年上で三冠王3回という誰の目にも明らかな前人未踏な実績の持ち主が入団してきて自分がチーム年俸ナンバーワンの座を譲るのなら理解できようが、入団時から比べると「怪物」ぶりが色あせつつある清原にいきなり年俸で超えられるのは頭では理解できても納得はできなかったであろうことは容易に想像できた。しかも前年時点での推定年俸は斎藤雅のほうが上だったのだから。

斎藤雅樹の年度別成績(一部抜粋)

1993年 23試合9勝11敗 防御率3.19

落合移籍

1994年 30試合14勝8敗 防御率2.53

1995年 28試合1810 防御率2.70最多勝、沢村賞

1996年 25試合16勝4敗 防御率2.36最多勝、防1位、沢村賞

清原移籍

1997年 19試合6勝8敗  防御率4.11

1998年 23試合10勝7敗 防御率3.08

1999年 17試合5勝2敗  防御率4.66

2000年 5試合3勝1敗  防御率2.10

2001年 13試合2勝2敗  防御率4.32現役引退

1997年のシーズン、斎藤雅はまだ32歳だった。必ずしも年齢的な分岐点とは思えない。清原への厚遇が斎藤雅のモチベーションを下げたのではないかと敗戦処理。は当時気にかけたものだった。

清原入団から斎藤雅引退までの五年間は偶然にも清原がジャイアンツと結んだ複数年契約の年数と一致する。そしてジャイアンツでの清原はこの間苦しみ、もがき続け、契約最終年の2001年こそ本来の清原らしい働きが出来たものの、清原にとって2001年に挙げたジャイアンツでの好成績は九年間に渡るジャイアンツ生活で最初で最後の年間フル回転の年でもあった。

今に続くジャイアンツの大型補強癖はFA移籍元年の落合に始まったのではなく、清原獲得が分岐点だと敗戦処理。は読んでいる。落合が在籍した1994年から1996年の三年間は「生え抜きのスター選手をチームの中心選手=『顔』とする」というのが不文律であるジャイアンツにとって「顔」が原辰徳から松井秀喜に移る端境期であり、落合補強は必要不可欠であったが、その三年間に二度のリーグ優勝を果たしたことを考えると、落合に衰えがあったからと言って遮二無二さらなる補強に追い迫られることはなかったという見方も出来たはずだ。ましてや「日本の選手の年俸体系を崩す」

火種を獲得してまで。

そしてその火種となった清原の活躍が今一で。生え抜きの看板だった斎藤雅の成績に影響を及ぼしていたとしたら…。

その後も延々と続く、育成なおざりの大型補強の繰り返しが真の意味でのチーム強化に結びついておらず、若手の育成が一向にままならないのはすべては清原獲得と、その際に年俸体系を崩したことの反省がなされていないことの証左であると敗戦処理。は考えている。

それでいながら清武代表の言葉。

「日本の選手の年俸体系を崩す」

は笑止千万なのである。

もちろん他球団と契約でこじれた選手に国内他球団が真似の出来ない条件を出して引っ張ってくること自体が「日本球界の戦力体系を崩す」行為であるのだが、球団はおそらくそれは確信犯的に行っているのであろうし、既に多くの人が批判しているから敢えてここでは目を向けない。自軍の体系を崩していることに気づいていないから笑止千万なのである。

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